Chapter 1 of 1
Chapter 1
砲煙弾雨の中に
常に描いて居た
懐かしい故郷の
停車場だった
白布に包まれた
木箱の中で
無言の英雄は
故郷に抱かれた
喜こびに
打ちふるえて
居るだろう
軽々と けれど
つつましく
木箱を捧げた
戦友は
微かな砲煙の臭を
感じながら
高まって来る
感情を
こらえて居た
弔旗がしずかに
垂れて
水を打った様な
出迎えの中を
今 悲しい死の
凱旋兵は
行く
一九三七年、善弘が従兄にあてた手紙より(一九七九年二月槇村浩の会刊『土佐プロレタリア詩集』を底本)
●図書カード