Chapter 1 of 6

めぎつね

野狐の背中に

雪がふると

狐は青いかげになるのだ

吹雪の夜を

山から一直線に

走つてくる その影

凍る村々の垣根をめぐり

みかん色した人々の夢のまわりを廻つて

青いかげは いつの間にか

鶏小屋の前に坐つている

二月の夜あけ前

とき色にひかる雪あかりの中を

山に帰つてゆく雌狐

狐は みごもつている

Chapter 1 of 6