Chapter 1 of 1

Chapter 1

むかし昔、あるところに石みたようにとしをとったおじいさんがありました。おじいさんは、目はかすんでしまい、耳はつんぼになって、膝は、ぶるぶるふるえていました。おじいさんは、食卓にすわっても、さじをしっかりもっていられないで、スープを食卓布の上にこぼしますし、いちど口に入れたものも、逆もどりして流れでるようなありさまでした。

おじいさんのむすこと、むすこのおかみさんは、それを見ると、胸がわるくなりました。そんなわけで、おおどしよりのお祖父さんは、とうとう、ストーブのうしろのすみっこへすわらされることになりましたし、むすこ夫婦は、おじいさんの食べるものを、素焼きのせともののお皿へ盛りきりにして、おまけに、おなかいっぱいたべさせることもしませんでした。おじいさんはふさぎこんで、おぜんのほうをながめました、おじいさんの目は、うるみました。

あるときのこと、おじいさんのぶるぶるふるえている手は、お皿をしっかりもってることができず、お皿はゆかへ落ちて、こなみじんにこわれました。わかいおかみさんは、こごとを言いましたが、おじいさんはなんにも言わずに、ためいきをつくばかりでした。

おかみさんは、銅貨二つ三つで、おじいさんに木の皿を買ってやって、それからは、おじいさんはそのお皿で食べることにきめられました。

三人がこんなふうに陣どっているとき、四歳になる孫は、ゆかの上で、しきりに小さな板きれをあつめています。

「なにをしているの?」と、おとうさんが、きいてみました。

「お木鉢をこしらえてるの」と、男の子が返事をしました、「ぼうやが大きくなったら、このお木鉢でおとうちゃんとおかあちゃんに食べさせたげる」

これを聞くと、夫婦は、ちょっとのあいだ顔を見あわせていましたが、とうとう泣きだしました。そして、すぐ、としよりのお祖父さんを食卓へつれてきて、それからは、しょっちゅういっしょにたべさせ、おじいさんがちっとぐらい何かこぼしても、なんとも言いませんでした。

●図書カード

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