のらくら息子
卓造君の生れた山中村は水の名所である。字からして泉、小谷、水窪なぞと水に因んだところが多い。村中から水が湧く。それが田川で落ち合って可なり大きな川になる。田川さんの田川は姓でもあり、川の名でもあり、又字の名でもある。田川が隣村の百間川へ流れ込んで大滝になる。鮎も河童もこゝから上へは登れないという伝説になっている。凄じい勢だ。もうそのまゝで電気が出ているように水が青光る。
田川の伯父さんの頭には常にこの大滝があった。水力電気! 先代が左前にして残した家産の益傾くにつれて、そればかり考える。尤も他に挽回の道はない。小作は我儘になるばかりだ。何彼と言って毎年のように年貢を値切る。約定通りに入れることは滅多にない。ひどく足りない年が続くと、田川さんは田地を手放す。それも村の人に知られたくないから遠方のを片付ける。田舎の金持は辛い。自分の所有物を処分するにも遠慮がある。その都度これでは困ると急き立てられた心持になって、東京から水力電気の専門家を招聘する。
「これは有望なところです」
と技師連中は折紙をつけてくれるが、単にそれ丈けの話だ。世間は相手にしない。
「又田川の旦那の道楽が始まったよ」
と言っている。去年の秋、田川さんは末の娘を縁づけると共に又々遠方の田地を手放す時期が来た。事があると何うしても食い込む。
丁度その頃、東京の尾崎さんが大滝の夢を見た。若い時鮎を釣りに行った記憶が残っていたのだった。彼処から上は鮎も河童も登れないという伝説まで思い出した。
「郷里には好い景色のところがあるよ」
と息子さん達に話した。それから妙に大滝が頭の中に残っていて企業の方と絡みついた。成功者は夢寐にも金儲けを忘れない。彼処を一つと思いつくと同時に、水源の山中村が胸に浮んだ。長男が紡績の方面に手を染めている。相談の結果、技師を呼んで、
「一遍見て来て貰おう。有望なら展墓に行く」
ということになった。
「待ち給えよ。彼処へ行って仕事をするには田川を抱き込まなければ駄目だ。田川の田川といって村一番だ。先代とは懇意だったから無論好意を持ってくれる」
と尾崎さんは四十年前のことを忘れなかった。
下検分の技師が訪れた時、田川さんは夢かと思った。ソロ/\金を出して見て貰わなければ虫の納まらないところへ自弁で来てくれたのだから、下へも置かない。今まで溜めた鑑定書を悉皆見せて、
「早速御案内致しましょう」
と勇み立った。
「いや、私は水力の方じゃございません」
「はゝあ」
「村の水を拝見に上りました」
「水を? はゝあ」
「実は尾崎さんの御惣領が紡績の方をやっていられますので……」
と技師は用件を説明した。
この下検分の結果は申分なかった。田川の伯父さんはその後二回上京して尾崎さんと打ち合せを済ませた。
「矢っ張り百間川のことですか?」
と伯母さんが訊いた時、
「然うだ」
と誤解のまゝにした。
「矢っ張り駄目でございましたろう?」
「駄目だった」
「あの川がないと家では幾ら助かるか知れませんわね」
と伯母さんは毎度のことだから厭味を言った。
「今に見ろ」
と田川さんも今度は本音だったが、例によって信じて貰えないのを没計の幸いとした。人情としては成功を語りたかった。しかし尾崎さんから口止めをされている。それに自分の都合もあった。
「田川はイヨ/\いけないらしい」
という評判が間もなく伝わった。これは遠方の田地を一時に悉皆手放してしまったからである。
「お父さん、厭な噂を聞きました。田川はこの頃鞘で食っているって皆言っていますよ」
と次いで睦さんが世間の取沙汰を紹介した。
「何ういう意味だい?」
「高いところを売って安いところを買うからです」
「商人は皆然うだよ」
「けれども米と違って田地の話です。川端田地ばかり買うからですよ」
「背に腹は更えられない」
と田川さんは笑っていた。川端田地は水を被るから三割方安い。田川さんは村外の田地を売った金でそれを買い込み始めた。
斯うして待っていたのだから、今回尾崎さんが惣領初め技師連中を引具して山中村へ本検分に来たのは予定の行動だった。卓造君のお父さんはその接待役として召し出された。卓造君も夕刻まで手伝った。
「尾崎さんはナカ/\この村の地理に明るうございますな」
と田川の伯父さんは彼方此方引き廻しながら感心した。
「実は若い時に一月ばかり来ていたことがあります」
「はゝあ?」
「四五十年前の懺悔話になります」
と尾崎さんはニコ/\した。
「これは聞きものですな」
「泉に辻といって、家へ来ていた奉公人の家がありました」
「泉の辻? さあ」
「今は角町へ出ているそうです。そこへ一時匿れていました」
「はゝあ」
「当時角町の若い者の間に博奕が流行りましてな、連中が皆上げられました。私一人好い塩梅に遁れましたが、世間体があります。その頃の山中は狐狸ばかりでお上の目が届きませんでしたからな」
「恐れ入ります」
「その辻の家へ来て、余炎の冷めるまで、毎日魚を釣って歩いていました」
「成程」
「それで水の涌くところは詳しいのです」
「して見るとその頃の御記憶が今回の御事業に与って力ありますな?」
「全く然うですよ」
「何が仕合せになるか知れません。お蔭さまで山中村が世に出ます」
と田川の伯父さんは一生懸命だった。
卓造君のお父さんは小学校長だから、何かこの成功者から学童への教訓資料を得ようと心掛けていたが、聞いたのはこの博奕の話丈けだった。しかしそれによっても尾崎さんの豪いことが分った。五十年前の失策から紡績工場を思いつくなぞは到底凡人の業でない。それで夕刻役目を果して帰った時は、
「尾崎さんに会って来たよ。卓造が弁当持ちで見に行くのも無理はない」
と悉皆敬服していた。
「何んな具合でございましたの?」
と卓造君のお母さんは尾崎さんよりも田川家の利益関係だった。
「卓造の話した通り村へ紡績工場が出来るのらしい」
「まあ/\」
「学校を鉄筋コンクリートにしてくれるそうだ」
「コンクリ?」
「分らなければ宜しい」
「あなた、学校よりも家の方でございますよ、斯うなると」
「何うなると?」
「工場が出来るんでしょう?」
「然うさ。村税は全部会社で持つようになるそうだ」
「兄さんは相変らずお話が大きいのね。それから?」
「それっきりさ」
「でも百間川が物になるんでしょう?」
と卓造君のお母さんは年来期待を置いている。
「然うだろう」
と校長先生は慾がない。
「あなたは子供の使のようね」
「何故?」
「水力電気が来れば私は分けて貰うんですよ。姉さん達は昔の田川の格式で片付いたんですが、私丈けは違いますからね」
「馬鹿!」
「何が馬鹿でございます?」
「お前は何かというと田川の世話になりたがる」
「里ですもの。当り前じゃありませんか?」
「少しはおれの顔を立てろ。卓造が月々学資を出して貰う丈けでも、おれは好い加減肩身が狭いんだ」
「兄さんは何うせ詰まらないことに使ってしまいますよ。あの人は公益が病気ですからね。兄さんが使わなければ睦さんが使ってしまいます」
「誰が使っても人の金だ」
「私、兄さんと約束があるんです。これからお祝いながら行って参ります」
「もう日が暮れるよ」
「正次郎をつれて行きます」
「おれが行く。卓造が行く。その後からお前が正次郎をつれて押しかけて行く。嫂さんは何と思うだろう?」
「…………」
「兄さんは明日尾崎さんと一緒に東京へ立つんで忙しいんだ」
「卓造は未だいますのね」
「うむ、手伝っている。おれは尾崎さんを見送ると直ぐに逃げて来た。金儲けの自慢話は聞きたくない」
「変人ね」
と卓造君のお母さんは機嫌が悪かった。
翌日正午、○○町の駅は尾崎さんの一行の見送人で賑った。角町の有志は総出だった。自分の方の成功者だから鼻が高い。それが永久的繁栄策をお土産に残して行くのだから景気が好い。
「○○町の奴等、今に見ろ」
という肚がある。その昔鉄道を寄進について以来、角町は振わない。学校といわず工場といわず、すべて土地の潤いになるものは皆○○町に取られている。
田川の伯父さんも一行に加わって東京へ立つ。卓造君は睦さんと一緒に駅へ詰めかけていた。
「卓ちゃん、有象無象が集まったね。ウヨ/\している」
と睦さんは一同を見渡した。
「聞えますよ」
と卓造君は声を潜めた。
「先刻僕に挨拶した年寄があったろう?」
「えゝ」
「あの禿頭は角町銀行の頭取だよ」
「然うですか」
「この間僕がよす時には此方から挨拶をしても碌々口をきいてくれなかったが、手の裏を返したようだ。現金なものさ」
「矢っ張り百間川が利いているんですね」
「無論さ。面白いなあ。この連中は皆百間川の方しか知らないんだ」
「村の方が知れちゃ大変ですよ」
「今に角町中がでんぐり返る」
「昨日は村中でしたね?」
「段々大きくなるのさ。ハッハヽヽヽ」
と睦さんは得意だった。
「しかし僕は心配でいけません」
「何故?」
「新聞記者をしている友人が先刻僕を捉えたんです」
「訊いたかい?」
「えゝ」
「何て? 何て?」
「昨日は昼から尾崎さんに出し抜かれたが、一体何の用があって君の村なんかへ行ったんだいって」
「危い/\」
「別荘地を物色に来たのさと誤魔化したら、それは嘘だよって、チャンと知っているんです」
「モスリン工場のことをかい?」
「いゝえ、そこまでは感づきませんが、何かあったと思っています」
「流石は新聞記者だ」
「それで僕は用心して余りニコ/\しないようにしています」
と卓造君は言う口の下から相好を崩した。
間もなく発車時刻になった。卓造君と睦さんは伯父さんの車窓近くで見送った。尾崎さんが特に会釈してくれたのも嬉しいことの一つだった。一同は万歳を唱えた。汽車が出てしまうと改札口で押し合いが始まった。
「卓ちゃん」
と睦さんは外へ出てから漸く一緒になった。
「まるでお祭りですね」
「大変な人だ」
「直ぐ帰りますか?」
「君は?」
「さあ」
「卓ちゃん、僕は知っているよ」
「何ですか?」
「君はお母さんに頼まれたろう?」
「何をですか?」
「僕を直ぐに引っ張って帰るようにって。僕は聞いていたぜ」
「然うですか」
と卓造君は困った。
「親父が立ってしまえば直に度胸が好くなるからって、ねえ」
「そんなこと知りません」
「兎に角その辺でお昼を喰べよう。今日は御馳走をするよ」
「僕は宜いです」
「何あに、遠慮は要らない。昨日から手伝って貰った慰労だ。来給え」
と睦さんは卓造君を引っ張って歩き出した。
「僕は饂飩か蕎麦で沢山です」
「そんなものはいけない。今日はお祝いだ」
「何処へ行くんですか?」
「まあ/\、僕に委せ給え」
「それじゃお昼を喰べたら直ぐに帰りますか?」
「見給え。頼まれている」
「そんな次第じゃありませんけれど」
と卓造君は退っ引ならない。
田川の惣領睦さんは中学時代からのらくらもので、東京へ修業に行ったが、中途で帰って来た。角町の銀行は一年でやめた。○○町や角町の待合へ勘定を溜める外に一向能がない。田川さんは思うところあって、未だ嫁を貰ってやらない。お母さんに言わせれば、
「早く貰ってやらないから遊ぶのです」
とあって、田川さんが悪い。
「何あに、嫁は虫押えじゃない。あゝグラ/\しているものが貰ったところで何うなる?」
と田川さんは睦さんのもっと落ちつくのを待っている。
斯ういう睦さんだ。先頃銀行の方が不首尾になってから逼塞していたが、父親の成功が略確定すると共に料簡は再び軌道を脱していた。煙たい親父を見送った足で中学五年生の卓造君を案内して行った先は○○町一流の料理屋だった。
「僕、困ります」
と卓造君は後退りをした。
「構わないよ、僕がついている」
「料理屋へ入ると退校になります」
「今日は違う」
「いゝえ」
「僕は君の従兄だよ。父兄がついている。心配は要らない。さあ」
と睦さんは理窟を言ってグイ/\引っ張る。見っともなくて仕方がない。
「それじゃ御飯を戴いて直ぐ帰りましょう」
と卓造君も竟に度胸を据えた。
二人は二階へ通って、庭を見晴らした部屋に納まった。睦さんは顔が売れている。女中達が、
「田川の旦那」
と呼んだ。卓造君はこれだから無銭飲食が出来るのだと思った。
「卓ちゃん、風呂に入り給え」
と睦さんが言った。
「宜いです。こゝから出るところを見つかると退校です」
「こゝの風呂だよ。大丈夫だ」
「然うですか。それでも宜いです」
と卓造君は袴を穿いて畏っていた。
「卓ちゃん、料理屋で飯を食ったって些っとも罪悪なことはないよ」
「…………」
「結婚式の披露は皆こゝでやるんだからね」
「分っています」
「人間は窮屈にばかりしているのが豪いんじゃない。見給え、尾崎さんは若い時博奕を打ったと言ったろう?」
「えゝ」
「さあ、風呂に入ろう」
と睦さんは弁解と説得を兼ねた。
お膳が出た時、女中と入り代った女が卓造君に盃を差した。
「要りません」
「おビールに致しましょうか?」
「飲むと退校です」
と卓造君は受けつけない。
「何でも退校だね」
と睦さんは笑って、自分独りビールを飲みながら、
「しかし食う方は構わない。大いにやってくれ給え」
と薦めた。
「戴きます」
と卓造君は腹がへっていた。
睦さんは大分飲んでから、
「時に卓ちゃん、君は来年東京へ行く。それについて僕は成功の秘訣を話したいと思うが、聴いてくれるかね?」
と真面目に切り出した。
「はあ」
「失敗して帰って来た僕が忠告らしいことを言うのは変なものだが、前車の覆轍ということもある。参考になるぜ」
「承わります」
「僕はあゝしろ斯うしろと教える資格は無論ない。しかしあゝするな斯うするなと戒める資格は充分ある。好くないという好くないことは大抵して来たからね」
「そんなこともないでしょう」
「まあ/\、ゆっくり話そう」
「早い方が宜いですよ」
「それじゃ早速取りかゝるかな。しかし気が映すね。芸者を側に置いてお説法は」
「はゝあ。この人が芸者ですか?」
と卓造君は見返った。
「あらまあ、御挨拶ね」
と芸者は扇子で顔を匿した。
「傑作々々」
と睦さんは手を叩いて喜んだ。
「私、もうお暇させて戴きますわ」
「それが宜かろう。存在を認められていないんだから」
「憎らしい!」
と芸者は突如卓造君の膝を抓った。色気抜きだから念力が罩っている。
「痛い!」
と卓造君は覚えず声を立てた。睦さんが笑い転げる。
「あなた、美ちゃんと菊ちゃんを呼んで上げて頂戴よ」
「いや、お前のようなのが安全第一で宜い」
「私、そんなにお婆さんに見えて?」
と芸者は今更懐中鏡を取り出して睨み入る。
「睦さん、もう帰りましょう」
と卓造君はモジ/\した。
「まあ/\、待ち給え。お説法を聴いてくれる約束だったじゃないか?」
「家へ帰って伺います」
「僕は飲みながらでないと真面目なことが言えない性分だ。卓ちゃん」
「何です?」
「始めるよ」
と睦さんは芸事でもやるように居住いを直した。
「お喉を湿して」
と芸者が注ぐ。
「卓ちゃん、東京へ行って一番大切なのは天を恐れないことだ。天を恐れちゃいけないよ、卓ちゃん」
「僕は天を恐れ人を敬うと習ったように覚えています」
「その天とは天が違う。天空さ。大空さ。大空が落ちて来ると思って怖がっちゃいけないよ、卓ちゃん」
「杞人の憂ですか?」
「それとも違う。天空の圧迫さ。見給え。山中村は無論のこと、○○町や角町から東京へ修業に行ったものは大抵中途半端で帰って来る。失敗率が多いぜ。これはこの辺の人が特に天空の圧迫に弱いからだと僕は確信している」
「はゝあ」
と卓造君は何うせ酔っ払い相手だ。諦めている。
「この地方はこの通り何方を向いても山がある。ところが東京へ行くと山が些っとも見えない。実に心細いぜ。初めの中は迚も変な気持がするよ、卓ちゃん」
「はゝあ」
「空に目印がないから、足元が始終フワ/\しているようで、落ちついて勉強が出来ない。何うしたってカッフェへ入り込むよ。あすこには目印がある」
「モダン・ガールの女給さん?」
と芸者が口を出した。
「然うさ。山の代りだ」
「山の代りなら遊女の方が手っ取り早いわ」
「それもあるんだ」
「芸者は何の代り?」
「睦さん、もう帰りましょう」
と卓造君は片膝を立てた。
「まあ/\、待ち給え。君は目印をカッフェの女給につけちゃいけない。山が見えなくて心細いと思ったら、直ぐに学問につけるんだね」
「分っています」
「僕も然うすれば立派に卒業しているんだが、遺伝だから仕方がない。田川家は代々東京へ行って失敗している。僕で三代目だ。卓ちゃん、君はお祖父さんが邏卒になった話を聞いているかい?」
「いゝえ」
「維新後東京へ行って邏卒を志願したそうだ。今の巡査だが、当時はそれが唯一の登竜門で、邏卒から大臣まで出世をした人が大勢ある。お祖父さんも辛抱していたら知事ぐらいにはなったろうが、何うも山が見えないものだから腰が据らない。それに鹿児島人が威張ったそうだ」
「はゝあ」
「お祖父さんが小言を言うと、人民は『この邏卒は田舎漢だよ』って馬鹿にする。鹿児島出身の邏卒が鹿児島弁でやると、『この邏卒さんは真物だ』と言って怖がる。同じ田舎漢でも鹿児島人丈け幅が利く。お祖父さんは憤慨して帰って来てしまった。目印があれば我慢するんだけれど、何分山がないから心細くて頑張れない」
「…………」
「その次が親父さ。これは大学まで漕ぎつけたのだから僕より豪いよ。三四年行っていたらしい。しかしもう一息というところでお祖父さんが死んで半年ばかり帰っていたものだから悉皆後戻りをしてしまった。又行ったけれど、もう落ちつかない。その頃はカッフェがなかった代りに矢場ってものがあった。矢場女さ。親父は今でこそ鹿爪らしい顔をしているけれど、ナカ/\性が悪かったんだよ」
「…………」
「それから僕さ」
「もう分っています」
「いや、僕の一代記は長いんだぜ」
「家へ帰ってからゆっくり伺いましょう。僕はこんなところにいると心配で仕方ありません」
「よし/\。要するに君は山の圧迫に負けちゃいけない」
「空の圧迫でしょう」
「然う/\。もう酔っ払った」
「帰りましょう」
「帰る」
「さあ」
「おい、ソロ/\御飯にしておくれ」
と睦さんは未だ手間がかゝる。