Chapter 1 of 1

Chapter 1

何が面白くて駝鳥を飼うのだ。

動物園の四坪半のぬかるみの中では、

脚が大股過ぎるぢゃないか。

頚があんまり長過ぎるぢゃないか。

雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。

腹がへるから堅パンも喰ふだらうが、

駝鳥の眼は遠くばかり見てゐるぢゃないか。

身も世もない様に燃えてゐるぢゃないか。

瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢゃないか。

あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。

これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。

人間よ、

もう止せ、こんな事は。

●図書カード

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