Chapter 1 of 1

Chapter 1

南から帰った兵隊が

おれたちの班に入ってきた

マラリヤがなおるまでいるのだそうな

大切にもってきたのであろう

小さい木綿袋に

見たこともない色んな木の種子

おれたちは暖炉に集って

その種子を手にして説明をまった

これがマンゴウの種子

樟のような大木に

まっ赤な大きな実がなるという

これがドリアンの種子

ああこのうまさといったら

気も狂わんばかりだ

手をふるわし 身もだえさえして

語る南の国の果実

おれたち初年兵は

この石ころみたいな種子をにぎって

消えかかった暖炉のそばで

吹雪をきいている

●図書カード

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