Chapter 1 of 3

四手網

俳優の木下がまだ田舎まわりの馬の脚であった時、夜、利根川の土手を歩いていると、むこうの方の川縁に時とすると黒い大きな物があがって、それが星あかりに怪しく見える。ふるえふるえ往って見ると、それは四手網をあげているので、

「ああ、よかった」

と云うと、今度は四手網の男が驚いて、

「わっ」

と云って水の中へ落ちた。

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