Chapter 1 of 1

Chapter 1

山の上には雲が流れてゐた

あの山の上で、お弁当を食つたこともある……

女の子なぞといふものは

由来桜の花弁のやうに、

欣んで散りゆくものだ

近い過去も遠いい過去もおんなじこつた

近い過去はあんまりまざまざ顕現するし

遠いい過去はあんまりもう手が届かない

山の上に寝て、空をみるのも

此処にゐて、あの山をみるのも

所詮は同じ、動くな動くな

あゝ、枯草を背に敷いて

やんわりぬくもつてゐることは

空の青が、少しく冷たくみえることは

煙草を喫ふなぞといふことは

世界的幸福である

●図書カード

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