Chapter 1 of 1

Chapter 1

浮名をいとはば舟にのれ、

舟はながれゆく、

いま櫓櫂の音を絶え、

風も雨も晴れしあけぼのに、

よしあしぐさのみだるる渚をすぎ、

舟はすいすいと流れゆくなり。

ああ舟にのりて行かば、

くるほしきなみの亂れもここちよく、

ちのみごの夜びえする、

あやしきこゑもきかであるべきに、

ふるとせひとにかくれて、

わがはぐくみしいろぐさのはや涸れぬとぞ、

けふきけば薄葉に涙しをるる、

よしゑやし、

悲しきものはあだがたき、君ならなくに、

はやも我が世をのがれいでばや。

●図書カード

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