Chapter 1 of 1

Chapter 1

村のはづれの水車小屋

ひとり淋しく立って居る

向の川の水車

しぶきをパッと散らしては

ぐる/\/\と威勢よく

風吹く時も雨の日も

休まずたはまず廻ってる

お日さん西に沈みかけ

夕の鐘が鳴ったとき

小屋の窓から首出して

たった一人のお爺さん

手をあて空を眺めては

「あゝ又鐘がなってゐる

今日も早、今くれて行く」

私が小屋へ来てからは

早廿年たったのか

月日のたつのは早い者

思出しては夢の様

この幾年の間には

村長さんが何べんも

かはって今の大杉さん

村のさかひに立って居た

一本松は四年前

切たふされて今はない

若い時から仲よしの

太郎兵衛どんはもう死んだ

あゝもううっかりせられない

少し休んで働かう

きせるくはへて一人言

あたりは淋しく成って来た

烏はみんなつれ立って

鎮守の森へと急ぎます

淋しく暗い其の中で

やっぱり/\威勢よく

ぐる/\まわる水車

(一一・六・二八)

●図書カード

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