Chapter 1 of 1

Chapter 1

われ聴衆に会釈して

歌ひ出でんとしたるとき

突如下手の幕かげに

まづおぼろなる銅鑼鳴りて

やがてジロフォンみだれうつ

わが立ち惑ふそのひまに

琴はいよよに烈しくて

そはかの支那の小娘と

われとが潔き愛恋を

あらぬかたちに歪めなし

描きあざけり罵りて

衆意を迎ふるさまなりき

そを一すぢのたはむれと

なすべき才もあらざれば

たゞ胸あつく頬つりて

呆けたるごとくわが立てば

もろびとどつと声あげて

いよよにわれをあざみけり

このこともとしわが敵の

かの腹円きセロ弾きが

わざとはわれも知りしかど

●図書カード

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