
犬養健 · Japanese
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犬養健 · Japanese
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Original (Japanese)
ひどく東邦風なジャンクを模様にした切手を四枚も貼つて――北京から私のところへ小包が来た。差出人は満鉄公処秘書課塩崎龍夫、塩崎は私の旧友なのだ。副業ともいふべき支那語がうまいので、それに支那の生活が味はひたさに満鉄に入つて、副社長付の通訳をしてゐるのだ。 それは兎も角として、包みをほどくと箱のなかから紫に染めあげた支那絹の袱紗が出て来た。さう云へば塩崎の長男が生れた時に心ばかりの祝ひ物を贈つた、その返礼なのだらう。しかし、私の云ひたいのはその袱紗の模様の大変風がはりだといふ事である。 寿 と白く抜いてあるのは先づ袱紗として当り前だが、変つてゐるといふ訳はその寿の字が酔筆とでも云ひたいほどに書きなぐつた楽書き風のもので、しかし書き手は気のせゐか凡でない。それから、布をすつかり拡げて見ると墨竹があしらつてある。が、これは寿の字以上に一気呵成で、ほとんど怒つて描いたやうな勢である。それで全体の感じから云へばどこかしどろもどろで、書きそくなひの趣なのだ。しかし私には、こんな風のものを袱紗に仕立てて人に配るやうな事をする塩崎の凝り性が面白かつた。 「内祝までにこちらの日本店で十枚ほど作らせて見た。

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