
江戸川乱歩 · Japanese
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江戸川乱歩 · Japanese
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Original (Japanese)
シナリオ・ライター北村克彦は、股野重郎を訪ねるために、その門前に近づいていた。 東の空に、工場の建物の黒い影の上に、化けもののような巨大な赤い月が出ていた。歩くにしたがって、この月が移動し、まるで彼を尾行しているように見えた。克彦はそのときの巨大な赤い月を、あの凶事の前兆として、いつまでも忘れることができなかった。 二月の寒い夜であった。まだ七時をすぎたばかりなのに、その町は寝しずまったように静かで、人通りもなかった。道に沿って細いどぶ川が流れていた。川の向こうには何かの工場の長い塀がつづいていた。その工場の煙突とすれすれに、巨大な赤い月が、彼の足並みと調子をあわせて、ゆっくりと移動していた。 こちら側には閑静な住宅のコンクリート塀や生垣がつづいていた。そのなかの低いコンクリート塀にかこまれた二階建ての木造洋館が、彼の目ざす股野の家であった。石の門柱の上に、丸いほやの電燈がボンヤリついていた。門からポーチまで十メートルほどあった。二階の正面の窓にあかりが見えていた。股野の書斎である。黄色いカーテンで隠されていたが、太い鼈甲縁の目がねをかけ、ベレー帽に茶色のジャンパーを着た、いやみな股野

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