岡本綺堂
岡本綺堂 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
岡本綺堂 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
一 神信心という話の出たときに、半七老人は云った。 「むかしの岡っ引などというものは、みんな神まいりや仏まいりをしたものです。上の御用とはいいながら、大勢の人間に縄をかけては後生が思われる。それで少しでも暇があれば、神仏へ参詣する。勿論それに相違ないのですが、二つにはそれもやっぱり商売の種で、何かのことを聞き出すために、諸人の寄りあつまる所へ努めて顔出しをしていたのです。わたくしなどもそのお仲間で、年を取った今日よりも却って若いときの方が信心参りをしたものです。いや、その信心に関係のあることではないのですが、弘化二年正月の二十四日、きょうは亀戸の鷽替えだというので、午少し前から神田三河町の家を出て、亀戸の天神様へおまいりに出かけました。そうすると、昼の八ツ(午後二時)過ぎに、青山の権太原……今はいつの間にか権田原という字に変っているようです……の武家屋敷から火事が始まったんです。この日は朝から強い北風で、江戸中の砂や小砂利を一度に吹き飛ばすというような物騒な日に、あいにくとまた紅い風が吹き出したのだから堪まりません。忽ちにそれからそれへと燃えひろがる始末。しかし初めのうちは亀戸の方でも
岡本綺堂
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.