小川未明
小川未明 · Japanese
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小川未明 · Japanese
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Original (Japanese)
空高く羽虫を追いかけていたやんまが、すういと降りたとたんに、大きなくもの巣にかかってしまいました。しまったといわぬばかりに、羽をばたばたして逃げようとしたけれど、どうすることもできませんでした。 縁先で、新聞を読んでいたおじいさんは、ふと顔を上げた拍子に、これが目に入ってじっと眼鏡の底から、とんぼの苦しがるのを見たのであります。 かわいそうにと、おじいさんは、思いました。年をとると、すべてのことに対して、憫れみ深くなるものです。そして、いまにもくもが出てきて、目の前で、とんぼの殺されるのを見るにしのびませんでした。 「正二や。」と、おじいさんは、孫を呼びました。自分にはどうにもならなかったからです。 あちらのへやで、明日の宿題をしていた正二は、何事かと思って、すぐに祖父のところへやってきました。 「なんですか、おじいさん。」 「あれ見な、いまやんまが飛んできて、くもの巣にかかったんだ。かわいそうだから助けてやんなさい。」 正二は、いつも、こんなようなことに出あったときは、人にいわれなくとも、自分から進んで助けてやる性質でありました。 「くもは、どうしたのか、出てきませんね。」と、正二は
小川未明
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