小川未明
小川未明 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
小川未明 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
さびしい野原の中に一本の木立がありました。見渡すかぎり、あたりは、まだ一面に真っ白に雪が積もっていました。そして、寒い風が、葉の落ちつくしてしまった枝を吹くのよりほかに、聞こえるものもなかったのです。 木は、こうして毎日、長い寒い冬の間、さびしいのを我慢していました。それにつけても、過ぎ去った春、夏、秋の間のいろいろ楽しかったこと、おもしろかったことを思い出していたのであります。 その中でも、くびのまわりの赤い鳥が、枝に巣を造って、三羽の雛をかえして、三羽の雛が仲よく枝から枝へ飛びうつっていましたのを、木は忘れることができませんでした。 「いまごろは、あの親子の鳥はどこへいったろう。さだめし暖かな土地へいって、ああして、楽しくさえずったり、飛びまわったりしているであろう。そして、また、こちらが春になって暖かになったら、忘れずにやってくるかもしれない。そのときは、もう三羽とも雛鳥は、大きくなっていることだろう。」と、木は思いました。 こうして、木立は、毎日、風の音を聞いて、白い雲を見つめるよりほかになかったので、さびしく、退屈でなりませんでした。 「ああ、早く春がきてくれればいい。」と、
小川未明
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.