
国枝史郎 · Japanese
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国枝史郎 · Japanese
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Original (Japanese)
名人地獄 国枝史郎 消えた提灯、女の悲鳴 「……雪の夜半、雪の夜半……どうも上の句が出ないわい」 寮のあるじはつぶやいた。今、パッチリ好い石を置いて、ちょっと余裕が出来たのであった。 「まずゆっくりお考えなされ。そこで愚老は雪一見」 立ち上がったあるじは障子を開けて、縁の方へ出て行った。 「降ったる雪かな、降りも降ったり、ざっと三寸は積もったかな。……今年の最後の雪でもあろうか、これからだんだん暖かくなろうよ」 「しかし随分寒うござるな」 侍客はこういって、じっと盤面を睨んでいたが、「きちがい雪の寒いことわ」 「……雪の夜半、雪の夜半……」あるじは雪景色を眺めていた。 「よい上の句が出ないと見える」 「よい打ち手がめつからぬと見える」 二人は哄然と笑い合った。 「これからだんだん暖かくなろう」あるじはまたも呟いた。 「しかし今日は寒うござるな」侍客がまぜっかえす。 「さよう。しかし余寒でござるよ」 「余寒で一句出来ませんかな」「さようさ、何かでっち上げましょうかな。下萠、雪解、春浅し、残る鴨などはよい季題だ」「そろそろうぐいすの啼き合わせ会も、根岸あたりで催されましょう」 「盆石、香会

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