小酒井不木
小酒井不木 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
小酒井不木 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
今年の夏は近年にない暑さが続きましたが、九月半ばになると、さすがに秋風が立ちはじめて、朝夕はうすら寒いくらいの気候となりました。わが少年科学探偵塚原俊夫君は、八月に胃腸を壊してからとかく健康がすぐれませんでしたが、秋になってからはすっかり回復して元気すこぶる旺盛、時々、私に向かって、 「兄さん、何かこうハラハラするような冒険はないかなあ。僕は近頃腕が鳴って仕様がない」 と、皮肉の嘆をもらすのでした。 「さあ、こればかりはどうも仕様がないねえ。人殺しや強盗など、めったにない方が世の中は安全だからねえ」 「それはそうだけれど、僕にとっては、安全な世の中なんて、平凡でつまらない。何か面白い事件でも起こってくれなければ、それこそまた、病気に罹りそうだ」 およそ一ヶ月あまり、これという大事件の依頼もなかったので、俊夫君の失望するのも無理はありません。 「だが事件がないからといって、こちらでこしらえるわけにはいかん。まあじっと辛抱して待つより他はないねえ」 私はこう言って慰めるより他はありませんでした。 ある日の午前、私たちが、いつものような会話を繰り返していると、おもてに自動車の止まる音がして、
小酒井不木
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.