島崎藤村
島崎藤村 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
島崎藤村 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
「幸福」がいろいろな家へ訪ねて行きました。 誰でも幸福の欲しくない人はありませんから、どこの家を訪ねましても、みんな大喜びで迎えてくれるにちがいありません。けれども、それでは人の心がよく分りません。そこで「幸福」は貧しい貧しい乞食のような服装をしました。誰か聞いたら、自分は「幸福」だと言わずに「貧乏」だと言うつもりでした。そんな貧しい服装をしていても、それでも自分をよく迎えてくれる人がありましたら、その人のところへ幸福を分けて置いて来るつもりでした。 この「幸福」がいろいろな家へ訪ねて行きますと、犬の飼ってある家がありました。その家の前へ行って「幸福」が立ちました。 そこの家の人は「幸福」が来たとは知りませんから、貧しい貧しい乞食のようなものが家の前にいるのを見て、 「お前さんは誰ですか。」 と尋ねました。 「わたしは「貧乏」でございます。」 「ああ、「貧乏」か。「貧乏」は吾家じゃお断りだ。」 とそこの家の人は戸をぴしゃんとしめてしまいました。おまけに、そこの家に飼ってある犬がおそろしい声で追い立てるように鳴きました。 「幸福」は早速ごめんを蒙りまして、今度は鶏の飼ってある家の前へ行っ
島崎藤村
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.