田中貢太郎
田中貢太郎 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
田中貢太郎 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
閨秀画家の伊藤美代乃女史は、秋田の出身であるが、その女史が小さい時、それは晩春の事であった。某日隣の友達と裏の田圃へ出て、虎杖を採って遊んでいると、どこからともなく六十位の優しそうな老人が来て、 「わしにもおくれ」 と云うので、採っていた虎杖を二つ三つやると、老人は皮も除らないでべろりと喫ってしまって、また手を出して、 「もうすこし、おくれよ」 と云った。そこで又二つ三つやると、又ぺろりと喫ってしまって、直ぐ又手を出すので、子供だちはありったけの虎杖をやったが、老人は幾何喫っても喫いたりないと云うように喫って、 「わしは、虎杖が好きで好きでたまらない、どっさりある処へ伴れてっておくれ」 と云った。子供だちは舌切雀のお爺さんのような人の良さそうな老人に、すっかり懐いているので、 「杉林の方へ往くとあるわよ」 と云って、老人を伴れて汽車の線路づたいに往った。往っていると小溝が流れていた。子供だけは平生その小溝を飛び越えているので、老人と同時に飛び越えようとすると、老人は畝へべったりと坐りこんで、 「こんな大きな川は、わしには飛べない」 と云った。子供だちは老人の云う事があまりおおげさである
田中貢太郎
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.