Chapter 1 of 41

死のよろこび

シヤアル・ボオドレヱル

蝸牛匍ひまはる泥土に、

われ手づからに底知れぬ穴を掘らん。

安らかにやがてわれ老いさらぼひし骨を埋め、

水底に鱶の沈む如忘却の淵に眠るべし。

われ遺書を厭み墳墓をにくむ。

死して徒に人の涙を請はんより、

生きながらにして吾寧ろ鴉をまねぎ、

汚れたる脊髄の端々をついばましめん。

あゝ蛆虫よ。眼なく耳なき暗黒の友、

汝が為めに腐敗の子、放蕩の哲学者、

よろこべる無頼の死人は来れり。

わが亡骸にためらふ事なく食入りて、

死の中に死し、魂失せし古びし肉に、

蛆虫よ、われに問へ。猶も悩みのありやなしやと。

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