南部修太郎
南部修太郎 · Japanese
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南部修太郎 · Japanese
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Original (Japanese)
畫家とセリセリス 南部修太郎 1 それが癖のいつものふとした出來心で、銀座の散歩の道すがら、畫家の夫はペルシア更紗の壁掛を買つて來た。が、家の門をはひらない前に、彼はからつぽになつた財布の中と妻の視線を思ひ浮べながら、その出來心を少し後悔しかけてゐた。始終支拂ひに足らず勝ちな月末までにもう十日とない或る秋の日の夕方だつた。 「あら、またこんな物を買つてらしたの?」 さすがに隱しきれもせずに、夫がてれ臭い顏附でその壁掛の包みを解くと、案の條妻は非難の眼を向けながらさう言つた。 「うん、近い内に取り掛かる裸體のバツクに使ふ積りなんだよ」 「まア。うまい言譯をおつしやるのね」 と、妻は口元に薄い笑ひを浮べた。 「いや、ほんとだよ」 「ふふふ、怪しいもんだわ。始終そんな道具立てばかりなすたつて、お仕事の方はちつとも運ばないぢやないの」 「そんな事はない。今度はきつとする。展覽會の方の約束もあるんだから‥‥」 「どうだか、またいつもの豫定だけなんでせう」 妻は微笑をつづけながら言つたが、そこで不意に眞顏になると、 「だけど、あなたは、ほんとにお氣樂ね」 「何が?」 「何がつて、もう少し家のことや
南部修太郎
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