長谷川時雨
長谷川時雨 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
長谷川時雨 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
平塚明子(らいてう) 長谷川時雨 一 らいてうさま、 このほどお体は如何で御座いますか。爽やかな朝風に吹かれるといかにもすがすがしくて、今日こそ、何もかもしてしまおうと、日頃のおこたりを責められながら、私は、貧乏な財袋よりもなお乏しい頭の濫費をしつつ無為な日を送っております。 御あたりはお静かでございますか。田舎での御生活は、どこやら不如意なようでいて、充実されたものであろうと、お羨しくぞんじます。あなたのお体にもよし、御家庭にもしみじみとした味の出た事と存じます。お子さまがたは、御自分たちのお母さまとして、日夜お傍に親しむことのお出来になるのを、どんなに現わし得ない感謝をもって、およろこびなされている事かと、あたくしでさえ嬉しい心地がいたします。そして風物は悠々として、あなたの御健康を甦えらせていることとぞんじます。 二 らいてうさま、 那須野を吹く風は、どんな色でございましょう。玉藻の前の伝説などからは紫っぽい暗示をうけますが、わたくしの知る那須野の野の風は白うございます。冬など、ふと灰色がかるようにも感じられますが、わたくしには何となく白いように思われます。その白さも、薔薇の白で
長谷川時雨
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.