久生十蘭
久生十蘭 · Japanese
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久生十蘭 · Japanese
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Original (Japanese)
一 雲ひとつない紺碧の空。 波のようにゆるく起伏する大雪原を縁取りした、明るい白樺の疎林や、蒼黝い針葉樹の列が、銀色の雪の上にクッキリと濃紫の影をおとし、岳樺の枝に氷雪がからみついて降誕祭の塔菓子のようにもっさりともりあがり、氷暈に包まれてキラキラと五彩にきらめきわたっている。 「ヤッホー」 「ヤッホーホー」 志賀高原の朝日山のスロープの裾で、花束をふりまいたような美しい四五人のお嬢さんが、すべったりころんだり、キャッキャッと高笑いしたりしながら、思い出したように声をあわせて山の中腹へよびかける。 「は、や、く、来いよウ」 朝日山の北側のスロープの中腹に、赤煉瓦の煙突をもった石造のしゃれた山小屋が建っている。 窓のあけかたや、長押の壁に日時計をつけたところなどをみると、南瑞西のモン・フォールの山小屋をまねてつくったものだということがわかる。 日本信託の森川氏が、娘やその友達のために建てたもので、毎年、一月のはじめごろになると一行が、料理番の婆やと女中をひとりつれてやってくる。日本女学園のやんちゃな連中で、このスロープを自分たちだけで独占して、朝から夕方までたいへんな騒ぎをやらかす。 山
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