牧逸馬
牧逸馬 · Japanese
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牧逸馬 · Japanese
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Original (Japanese)
ホテル・アムステルダムの女主人セレスティンは、三階から駈け降りて来た給仕人の只ならぬ様子にぎょっとして、玄関わきの帳場から出て来た。 巴里人らしい早口で、 「何をあわてているんです、ポウル」 給仕人のポウルは、これも巴里人らしく鷹揚に眼を円くして、 「三階の十四号室へ朝飯を運んで行ったんですが、扉が固く閉まっていて、いくら叩戸しても返事がないんです」 「三階の十四号?――ああ、ウィ・ウィ! あの、英吉利の紳士さんでムッシュウ・テイラアふうむ、眠ってでもいるんだろうよ。ポウル、一緒に来て御覧」 「何て世話の焼ける英吉利人だろう!」――と、舌打ちをした女将セレスティンは、ぐいと女袴の膝を掴むと、先に立って階段を昇って行った。自分で起そうというのだ。 が、何時も早起きで、几帳面なテイラアである。今朝に限って何うしたというのだろう? 何か間違いがなければいいが――と、うっすらした不安を感じながら、やがて三階、十四号室の前である。 成程、割れるようにノックしても、室内はしいんとしている。内部から鍵が掛っているのでマダムは、髪ピンを鍵穴へ差込み、鍵を向うへ落して置いて、自分の持っている親鍵でドアを
牧逸馬
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