水野仙子 · 일본어
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원문 (일본어)
散歩 水野仙子 「おい、散歩に行かないか。」と、縁側に立つて小さく口笛を吹いてゐた夫は言つた。 薄暗い台所でしてゐた水の音や皿の音は一寸の間やんで、「えゝ」と、勇みたつたやうな返事が聞えると、また前よりは忙しく水の音がしだした。 暗い夜であつた。少しばかり強く風が渡ると、光りの薄い星が瞬きをして、黒いそこらの樹影が、次ぎから次ぎへと素早く囁きを伝へて行く。便所の手拭ひ掛けがこと/\と、戸袋に当つて搖れるのがやむと、一頻りひつそりと静かになつて、弱り切つた虫の音が、歯※にしみるやうに啼いてるのが耳だつて来る。 初秋の夜気が、しみ/″\と身うちに環つて、何となく心持ちが引緊り、さあ「これからだぞ――」といふやうな気がするにつけても、訳もなく、灯とそれから人の匂ひが懐しい。暗い空に向つて、遙かに響きを伝へて来る甲武線の電車の音を聞いてゐると、その中の人達や、或はそれの吐き出される明るい街々やが、ぱあつと眼に泛んで来る。帯の間に両手をさし込んで、そんなことをぼんやり意識しながら、夫は猶縁側に立ち尽してゐると、台所の用をすませて妻がはいつて来た。 「ね、何処に行きませう?」といつも機嫌のいゝ時に
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水野仙子
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