水野仙子
水野仙子 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
水野仙子 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
脱殼 水野仙子 時は移つて行く。今日の私はもう昨日の私ではない。脱殻をとゞめることは成長の喜びである。 その脱殻の一つを、今私はその頃の私に捧げようと思ふ。 いつの頃からともなしに私はさうなつて来た。どうした訳でなのかもわからない。寧ろわかることを避けて居る。面倒くさがつて居る。私はたゞ、此頃私はかうなんだと思つてみて居る。 「なんて腐つたやうな生活なんだ!」 かう言つてあの人は憤る。すると私もさう思ふ。 「まるで腐つてるんだ。蛆が湧くぜ今に!」 唾でも吐きかけたいやうな顔つきをして、あの人は私を見下して起つて行く。全くそれに違いない。適切な言葉だと思ふ。だけど、たゞさう思ふだけで、一向痛切にそれが響かない。私の腐つた心には、もう薬もなんの利き目がないのかも知れないなどゝ思ふ。 パラ/\と自棄に頁を繰る音がする。と、やつぱり相手を求める私の力でないやうな力に操られて、私はつと後を追つて行く。 「ね!」とぺたり坐つて、あの人の膝にしなだれかゝる。あの人は黙つて居る。 「ねつたら!」 「おい!」 いつもの慍つてる時に出る声の返辞。すると私は、無上に気に入らなくなつて、何がなんでもそれをどう
水野仙子
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.