TZSCHALLAPPOKO
菊池寛
□北原白秋氏の出して居た雑誌の題「ザンボア」は誤つた発音で、実はザンボンと発音するのだ。之で見ると昔からのザボンと云ふ方が正しい、なまじ字を知るは誤の初だとは上田敏先生のお話。 □ショオの「アームス、エンド、マン」を腕と人と訳した人は論外だが、坪内先生監修の訳本に「武器と人」としてある、然しアームス、エンド、マンは古来よりの成語で「いくさと人」と訳すべきもの
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菊池寛
□北原白秋氏の出して居た雑誌の題「ザンボア」は誤つた発音で、実はザンボンと発音するのだ。之で見ると昔からのザボンと云ふ方が正しい、なまじ字を知るは誤の初だとは上田敏先生のお話。 □ショオの「アームス、エンド、マン」を腕と人と訳した人は論外だが、坪内先生監修の訳本に「武器と人」としてある、然しアームス、エンド、マンは古来よりの成語で「いくさと人」と訳すべきもの
李箱
1931年の風雲を寂しく語つてゐるタンクが早晨の大霧に赭く錆びついてゐる。 客桟のの中。(実験用アルコホルランプが灯の代りをしてゐる) ベルが鳴る。 小孩が二十年前に死んだ温泉の再噴出を知らせる。 ●図書カード
石川啄木
この集を一讀して先づ私の感じたのは、著者土岐哀果氏が蓋し今日無數の歌人中で最も歌人らしくない歌人であらうといふ事であつた。其の作には歌らしい歌が少い――歌らしい歌、乃ち技巧の歌、作爲の歌、裝飾を施した歌、誇張の歌を排するといふ事は、文學上の他の部面の活動の後を引いて最近一二年の間に歌壇の中心を動かした著るしい現象であつたが、然し我々は自らそれを唱へた人の作に
芥川竜之介
MENSURA ZOILI 芥川龍之介 僕は、船のサルーンのまん中に、テーブルをへだてて、妙な男と向いあっている。―― 待ってくれ給え。その船のサルーンと云うのも、実はあまり確かでない。部屋の具合とか窓の外の海とか云うもので、やっとそう云う推定を下しては見たものの、事によると、もっと平凡な場所かも知れないと云う懸念がある。いや、やっぱり船のサルーンかな。それ
芥川竜之介
LOS CAPRICHOS 芥川龍之介 笑は量的に分てば微笑哄笑の二種あり。質的に分てば嬉笑嘲笑苦笑の三種あり。……予が最も愛する笑は嬉笑嘲苦笑と兼ねたる、爆声の如き哄笑なり。アウエルバツハの穴蔵に愚昧の学生を奔らせたる、メフイストフエレエスの哄笑なり。 ――カアル・エミリウス―― ユダ 逾越と云へる「種入れぬ麺包の祭」近づけり。祭司の長学者たち、如何にして
李箱
焔の様な風が吹いたけれどもけれども氷の様な水晶体はある。憂鬱は DICTIONAIRE の様に純白である。緑色の風景は網膜へ無表情をもたらしそれで何んでも皆灰色の朗らかな調子である。 野鼠の様な地球の険しい背なかを匍匐することはそも誰が始めたかを痩せて矮少である ORGANE を愛撫しつゝ歴史本の空ペエヂを翻へす心は平和な文弱である。その間にも埋葬され行く考
Martin Luther
マルチン・ルターの小信仰問答書 Luther's Little Instruction Book (The Small Catechism of Martin Luther) マルチン・ルター 著 結城 浩 訳 1. 第一部:十戒について 父親が家族に十戒を簡潔に示すには 〔訳注:ここでのルターの番号のつけ方は、アウグスティヌ
Ryūnosuke Akutagawa
RASHOMON By AKUTAGAWA Ryunosuke A note from the digitizer This file is encoded in Japanese. Your computer must be Japanese-capable to read it. The text was taken from
李箱
○ ELEVATER FOR AMERICA. ○ 三羽の鶏は蛇紋石の階段である。ルンペンと毛布。 ○ ビルデイングの吐き出す新聞配達夫の群。都市計画の暗示。 ○ 二度目の正午サイレン。 ○ シヤボンの泡沫に洗はれてゐる鶏。蟻の巣に集つてコンクリヒトを食べてゐる。 ○ 男を※※ぶ石頭。 男は石頭を屠獣人を嫌ふ様に嫌ふ。 ○ 三毛猫の様な格好で太陽群の隙間を歩
李箱
長イモノ 短イモノ 十文字 × 然シ CROSS ニハ油ガツイテイタ 墜落 已ムヲ得ナイ平行 物理的ニ痛クアツタ (以上平面幾何学) × をれんぢ 大砲 匍匐 × 若シ君ガ重症ヲ負フタトシテモ血ヲ流シタトスレバ味気ナイ おー 沈黙ヲ打撲シテホシイ 沈黙ヲ如何ニ打撲シテ俺ハ洪水ノヨウニ騒乱スベキカ 沈黙ハ沈黙カ めすヲ持タヌトテ医師デアリ得ナイデアラウカ 天体
李箱
四角の中の四角の中の四角の中の四角 の中の四角。 四角な円運動の四角な円運動 の 四角 な 円。 石鹸の通過する血管の石鹸の匂を透視する人。 地球に倣つて作られた地球儀に倣つて作られた地球。 去勢された襪子。(彼女のナマヘはワアズであつた) 貧血緬※。アナタノカホイロモスヅメノアシノヨホデス。 平行四辺形対角線方向を推進する莫大な重量。 マルセイユの春を解纜
海野十三
「――観音さまの?」 「――ええ、芝公園増上寺の境内に若い女の絞殺体が二つ、放り捨てられていたというんです。ちょっと新聞の記事を読んでみましょうか―― 『十七日(昭和二十一年八月)午前九時半ごろ東京都大森区大森五の一〇三樵夫吉沢新三さん(四 一)が芝公園増上寺境内西向観音裏山で伐材中、付近の笹やぶの北側の大欅の根もとに全裸体俯向けの二十歳ぐらい、死後十日を
伊藤野枝
宛先 大坂市西区松島十返町 武部種吉様方発信地 東京市外巣鴨村宮仲二五八三 前略 おかはりはありませんか、 私も元気でゐます故御安心下さい。 先日廿五日に女児出産魔子と名づけました。 そちらではもう松茸が出てゐるやうですが、こちらではまだ手に入りません。少々でよろしいが送つて貰へませんか、その代りへは何なりとそちらでおのぞみのものを、こちらからもお送りしま
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 大阪市北区上福島 すこし甘へたくなつたから、また手紙を書きたいの。野枝公もうすつかり悄気てゐるの。だつて来ると早くからいぢめられてゐるんだもの、可哀さうぢやない? でもね、随分おとなしいのよ。けれど、もう大阪なんか本当にいやになつちやつた。野枝公もう帰へりたくなつたの。もう帰へつてもいい? まだ早い? だけど
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 大阪市北区上福島 昨日はとうたうはがきを書く事も出来ませんで失礼して仕舞ひました。何卒あしからずおゆるし下さい。 停車場に和気(律次郎)さんが思ひがけなく見えてゐましたのにびつくりしました。あなたが電報を打つて下すつたのですつてね。午後から社に伺ふ約束をして直ぐこちらにまゐりました。叔父(代準介)は午後から旅
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 ひどい嵐です。一寸も外には出られません。本当にさびしい日です。けれど今日は、さつきあなたに手紙を書いた後、大変幸福に暮しました。何故かあててごらんなさい。云ひませうか。それはね、なを一層深い愛の力を感じたからです。本当に。 こないだ、あなたに云ひましたね、あなたの御本だけは持つて
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 ゆふべ、つくと直ぐに手紙を書き出しましたけれど、腰が痛んで気持が悪いので止めました。つきますと直ぐに雨が降り出して、風がひどいので外には出られません。真暗な風の強いさびしい晩でした。停車場から此処まで歩いてくるうちに、泣きたくなつて仕舞ひました。停車場の直ぐ前ときいてゐましたけれ
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 今朝あなたへの手紙を出して仕舞ふと直ぐに仕事にかかるつもりで居りましたが、何んだかグルーミーな気持になつて仕舞つて、机の前に座るのがいやで仕方がありませんので、障子を開けてあすこから麦の穂を眺めながら、あなたの事ばかり考へて、五六本煙草を吸つて仕舞ふまで立つてゐました。ひどい風で
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 停車場を出ると、前の支店でしばらく休んで、それから宿に帰へりました。帰つてからも室にゆくのが何んだかいやなので、帳場で話をして、それから室にはいると直ぐあの新聞を読んで、中央公論を読んで仕舞ひました。思つたほど何んでもなかつたので、すつかりつまらなくなつて室中を見まはしました。何
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 あなたは本当にひどいんですね。あんな余計な処まで抜き書きをしなくつたつていいぢやありませんか。本当にひどい。でも、あなたが怒る/\つて云つてらしたほど怒りはしませんけれどね。大好きなあなたがお書きになつたのですものね。 私は、もう総てがよく解つてゐましたので、前に頂いた手紙を読み
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 今、安成(二郎)さんがお帰りになつたところです。私は何もお話も書きもしないつもりでしたけれど、折角あなたの紹介でこんな処までゐらしつたのですから、書くだけは御約束いたしました。けれども、まだ何を書かうと云ふあてもつきませんのです。でも、大変静かに気持よくお話いたしました。 あなた
伊藤野枝
宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館発信地 千葉県夷隅郡御宿 上野屋旅館 昨日のあらしがひどかつたので、別荘の掃除が大変だと云つて、おひるから婆やがひまを貰ひたいと云ひだしましたので、今日は午後からお守りをして暮しました。それでも午前に十枚ばかり書きました。夕方、子供を寝かしてからぼんやりしてゐますと、急に淋しさがこみ上げて来てゐても立つてもゐられない
李箱
白イ天使 (コノ※ノ生ヘタ天使ハキユビツトノ祖父様デアル。※ノ全然(?)生ヘナイ天使ト ヨク結婚シタリスル。) 私ノ肋骨ハ2ダーズ(ン)。一ツ一ツニノツクヲシテ見ル。ソノ中デハ海綿ニ濡レタお湯ガ沸イテイル。白イ天使ノペンネームハ聖ピーターダト。ゴムノ電線(チンチンゴロゴロ) 鍵孔カラ偸聴。 (発信)ユダヤ人の王さまおやすみ?(返信)ツートツートトツーツー(1
石川啄木
『樹木と果實』は赤色の表紙に黒き文字を以て題號を印刷する雜誌にして主に土岐哀果、石川啄木の二人之を編輯す。雜誌は其種類より言へば正に瀟洒たる一文學雜誌なれども、二人の興味は寧ろ所謂文壇の事に關らずして汎く日常社會現象に向ひ澎湃たる國民の内部的活動に注げり。雜誌の立つ處自ら現時の諸文學的流派の外にあらざる可らず。雜誌の將來に主張する所亦自ら然らむ。二人は自ら文