小栗虫太郎
小栗虫太郎 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
小栗虫太郎 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
いよいよ本篇から、魔境記も大ものばかりになってくる。まず、その手初めが“Ser-mik-suah”グリーンランド中部高原の北緯七十五度あたり、氷河と峻険と猛風雪と酷寒、広茫数百の氷河を擁する未踏地中のそのまた奥。そこに、字義どおりの冥路の国ありという、“Ser-mik-suah”は極光下の神秘だ。では一体、その「冥路の国」とはどういうところか。 まず、誰しも思うのは伝説の地だということ。グリーンランドの内部は、八千フィートないし一万フィートの高さのわたり、大高原をなしている。そして、それを覆う千古の氷雪と、大氷河の囲繞。とうてい五百マイルの旅をして核心を衝くなどということは、生身の人間のやれることではない。だから、そこに冥路の国がある、死んだ魂があつまる死霊の国がある――とエスキモー土人が盲信を抱くようになる。 と、これがマアいちばん妥当なところで……たぶん皆さんもそうお考えであろうと思われる。また、「冥路の国」について多少の知識のある方は、一歩進んだものとして次のようなことも言うだろう。 馬来の狂狼症をジャングルの妖とすれば、「冥路の国」の招きは氷の神秘であろう。それに打たれた土人は
小栗虫太郎
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.