別所梅之助
別所梅之助 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
別所梅之助 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
雪の武石峠 別所梅之助 信濃町から 一時間たつかたたぬに、もう大晦日という冬の夜ふけの停車場、金剛杖に草鞋ばきの私たちを、登山客よと認めて、学生生活をすましたばかりの青年紳士が、M君に何かと話しかける。「はじめて武石峠へゆくのです」とのM君の答に、青年紳士は、自分の経験からいろいろ注意をして下された。「武石峠は今零度ほどの寒さでしょう。松本で真綿を買って、頸に捲いておいでなさい。懐炉をもってお出でなさい。腰と足とを冷さねば大丈夫です。金剛杖はよい物をもってお出でなされた。あぶない時には、それをナイフで削って、白樺の皮をむいて火をおつけなさい、きっと焚火がもえつきます、下手をやるとあの辺でも死にますからな。猿などが出ていたずらをしますから、新聞紙を沢山もっていってマッチでそれを燃しておふりなさい。あいつはあの臭をいやがりますからな。」 気のいいM君は、「死にますからな」が、気になったらしい。紳士に別れてからも、それをきいていた。「危い」それは東京にいたってだ。天の下のいずちに、人を流さぬ川があろうぞ。またいずちに人を呑まぬ地があろうぞ。M君よりは、はるかに要慎深い扮装ながら、私はいつもの
別所梅之助
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.