牧野信一 · 일본어
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원문 (일본어)
読むのがのろいからと心配して――これで僕は四ヶ月もつゞけて(三ヶ月間は、「早稲田文学」のために――)早く出るものからぼつ/\と読みはじめ、さて、いよ/\書かうといふ段になると、十日も前に読んだものゝ記憶は大ぶんあやしくなり、また繰ひろげて、あれこれと戸惑ひ、結局時間に追はれて半分も読み損つてしまふ有様は、まるでアダムスン漫画のやうであつた。記憶があやしくなるといふても、決して不熱心な顔つきで失敬な読み方をなしてゐるわけではないので、それこそアダムスンのやうに徹底的に生真面目過ぎるわけなのだが、それがその難物で、ツケル薬が無い態の融通を欠いたあまたの悲しみに相違ないんだけれど、不思議なことには何んな稚拙な作品であつても、文芸的要素の勝つたものは、忘れようとしても忘れられるものではなかつた。通俗的とか大衆的とかといふものは、もともと本来なる文芸の起原と要求からは全く出発点を異にしたもので、それらの社会的なる花々しさに混同されて、どつちつかずの通俗味に病ひされたかの如き、そのやうなものがつい記憶が怪しくなるといふまでのことで、それにしたつて書く場合でゞもなければそれはそれで別段のこともないわ
牧野信一
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