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嫁泥棒譚
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嫁泥棒譚
伊藤野枝
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Traducción Pagera AI
Original Public Domain
Chapter 8 of 10

平和な結婚にも掠奪の儀式

更らに、平和な結婚の儀式に、掠奪の真似事をすると云ふ多くの例が、矢張り、ルトウルノによつて集められてあります。その儀式と云ふ事に就てはルトウルノは次のやうに云つてゐます。

『掠奪を真似た儀式があると云つた処で其平和な男女の結合が、女を掠奪する事から出たと云ふ意味ではない。たゞ遠い時代、即ち暴力が非常に尊ばれた、そして有らゆる種類の労働の奴隷を武器の力で得る事が名誉とされた時代からの伝習、心の中での遺物だと云ふに過ぎない。そして彼等は平和な結婚をするやうになつても其の昔日の掠奪を儀式の中に入れたがるのに過ぎない。従つてその掠奪行為には、他の何等の意味も含まれてゐない。たゞ、両親から買はれて来た花嫁が其の夫たる主人に絶対の服従をしなければならない事と、その家の中での最も卑しい地位に就かなければならない事を意味するに過ぎない』

しかし、此の儀式は、ニユウジーランド辺の土人の間では、婚姻の儀式の一番重大なものになつて居ります。結婚の約束が成立すると、男は女を掠めてゆきます。女は極力それに抵抗する事になつて居りますので、着物が、ボロ/\に切れ裂けるまで抵抗して引きづられてゆきます。またシナイのペドウイン族では、男は二人の友人を連れて、女を奪ひにゆきます。女は石を投げて反抗します。そして遂に男達は女をその父親の内まで連れて行つて其処で許される事になつて居ります。

Chapter 8 of 10
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