Chapter 1 of 4

無言

常によく見る女なれど、

心の欲を云ひいでむ、

また、語るべき機会もなく、

胸もどかしく、過ぎゆくか。

実にも二人がその中は、

砕けちりしく花硝子――

夕日の国の寂寥に、

絡みて沈む香の色。

せめては夢にその女と、

微笑つくる嬉れしさを、

ふかき思ひに抱きしめ、

無言の恋をくちづけむかな。

Chapter 1 of 4