Chapter 1 of 1

Chapter 1

愚かなる。

太陽を捕え、朝の日光を、

縄をもって縛しめむとする。

風に乗り、あるはまた、

走る流れに逆らわむとする。

四季を阻みて、降る雨を止めむとする。

空気と戦う心無さよ。

ありとある力を、畢に無にせむ。

かかるに同じく、かかる業より更に愚かなる。

人の言う所を咎め、そを強いて教に適わさんとする。

定めを人の上に立て、

物言うも、そを超えしめぬ。

さなり、人の口を壅がむこと、

吹く風を捕うるよりも難きものを。

愚かなるものよ。

(『近代思想』一九一二年十月創刊号に飄風名で発表)

●図書カード

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