Vol. 2May 2026

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14,981종 중 2,808종 표시

The Lady Guest

女客

泉鏡花

女客 泉鏡花 一 「謹さん、お手紙、」 と階子段から声を掛けて、二階の六畳へ上り切らず、欄干に白やかな手をかけて、顔を斜に覗きながら、背後向きに机に寄った当家の主人に、一枚を齎らした。 「憚り、」 と身を横に、蔽うた燈を離れたので、玉ぼやを透かした薄あかりに、くっきり描き出された、上り口の半身は、雲の絶間の青柳見るよう、髪も容もすっきりした中年増。 これはあ

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凱旋祭

泉鏡花

凱旋祭 泉鏡花 一 紫の幕、紅の旗、空の色の青く晴れたる、草木の色の緑なる、唯うつくしきものの弥が上に重なり合ひ、打混じて、譬へば大なる幻燈の花輪車の輪を造りて、烈しく舞出で、舞込むが見え候のみ。何をか緒として順序よく申上げ候べき。全市街はその日朝まだきより、七色を以て彩られ候と申すより他はこれなく候。 紀元千八百九十五年―月―日の凱旋祭は、小生が覚えたる観

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海の使者

泉鏡花

海の使者 泉鏡花 上 何心なく、背戸の小橋を、向こうの蘆へ渡りかけて、思わず足を留めた。 不図、鳥の鳴音がする。……いかにも優しい、しおらしい声で、きりきり、きりりりり。 その声が、直ぐ耳近に聞こえたが、つい目前の樹の枝や、茄子畑の垣根にした藤豆の葉蔭ではなく、歩行く足許の低い処。 其処で、立ち佇って、ちょっと気を注けたが、もう留んで寂りする。――秋の彼岸過

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歌行灯

泉鏡花

歌行燈 泉鏡花 一 宮重大根のふとしく立てし宮柱は、ふろふきの熱田の神のみそなわす、七里のわたし浪ゆたかにして、来往の渡船難なく桑名につきたる悦びのあまり…… と口誦むように独言の、膝栗毛五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空は冴切って、星が水垢離取りそうな月明に、踏切の桟橋を渡る影高く、灯ちらちらと目の下に、遠近の樹立の骨ばかりなのを視めながら、桑名

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草迷宮

泉鏡花

草迷宮 泉鏡花 向うの小沢に蛇が立って、 八幡長者の、おと娘、 よくも立ったり、巧んだり。 手には二本の珠を持ち、 足には黄金の靴を穿き、 ああよべ、こうよべと云いながら、 山くれ野くれ行ったれば………… 一 三浦の大崩壊を、魔所だと云う。 葉山一帯の海岸を屏風で劃った、桜山の裾が、見も馴れぬ獣のごとく、洋へ躍込んだ、一方は長者園の浜で、逗子から森戸、葉山を

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紫陽花

泉鏡花

色青く光ある蛇、おびたゞしく棲めればとて、里人は近よらず。其野社は、片眼の盲ひたる翁ありて、昔より斉眉けり。 其片眼を失ひし時一たび見たりと言ふ、几帳の蔭に黒髪のたけなりし、それぞ神なるべき。 ちかきころ水無月中旬、二十日余り照り続きたる、けふ日ざかりの、鼓子花さへ草いきれに色褪せて、砂も、石も、きら/\と光を帯びて、松の老木の梢より、糸を乱せる如き薄き煙の

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A Glimpse of Modern Women's Dress

当世女装一斑

泉鏡花

当世女装一斑 泉鏡花 こゝに先づ一個の裸美人ありと仮定せよ、一代女に記したる、(年紀は十五より十八まで、当世顔は少し丸く、色は薄花桜にして面道具の四つ不足なく揃ひて、目は細きを好まず、眉濃く、鼻の間せはしからず次第高に、口小さく、歯並あら/\として皓く、耳長みあつて縁浅く、身を離れて根まで見透き、額はわざとならず自然の生えどまり、首筋立伸びて後れなしの後髪、

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白い下地

泉鏡花

白い下地 泉鏡花 色といえば、恋とか、色情とかいう方面に就いての題目ではあろうが、僕は大に埒外に走って一番これを色彩という側に取ろう、そのかわり、一寸仇ッぽい。 色は兎角白が土台になる。これに色々の色彩が施されるのだ。女の顔の色も白くなくッちゃ駄目だ。女の顔は浅黒いのが宜いというけれど、これとて直ちにそれが浅黒いと見えるのでは無く、白い下地が有って、始めて其

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逗子より

泉鏡花

逗子より 泉鏡花 拝啓、愚弟におんことづけの儀承り候。来月分新小説に、凡兆が、(涼しさや朝草門に荷ひ込む)趣の、やさしき御催しこれあり、小生にも一鎌仕れとのおほせ、ゐなかずまひのわれらにはふさはしき御申しつけ、心得申して候。 まづ、何処をさして申上げ候べき。われら此の森の伏屋、小川の芦、海は申すまでも候はず、岩端、松蔭、朝顔、夕顔、蛍、六代御前の塚は凄く涼し

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湯島の境内

泉鏡花

湯島の境内 泉鏡花 湯島の境内 (婦系図―戯曲―一齣) 冴返る春の寒さに降る雨も、暮れていつしか雪となり、 仮声使、両名、登場。 上野の鐘の音も氷る細き流れの幾曲、すえは田川に入谷村、 その仮声使、料理屋の門に立ち随意に仮色を使って帰る。 廓へ近き畦道も、右か左か白妙に、 この間に早瀬主税、お蔦とともに仮色使と行逢いつつ、登場。 往来のなきを幸に、人目を忍び

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小春の狐

泉鏡花

小春の狐 泉鏡花 一 朝――この湖の名ぶつと聞く、蜆の汁で。……燗をさせるのも面倒だから、バスケットの中へ持参のウイスキイを一口。蜆汁にウイスキイでは、ちと取合せが妙だが、それも旅らしい。…… いい天気で、暖かかったけれども、北国の事だから、厚い外套にくるまって、そして温泉宿を出た。 戸外の広場の一廓、総湯の前には、火の見の階子が、高く初冬の空を抽いて、そこ

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古狢

泉鏡花

古狢 泉鏡花 「しゃッ、しゃッ、しゃあっ!……」 寄席のいらっしゃいのように聞こえるが、これは、いざいざ、いでや、というほどの勢いの掛声と思えば可い。 「しゃあっ! 八貫―ウん、八貫、八貫、八貫と十ウ、九貫か、九貫と十ウだ、……十貫!」 目の下およそ八寸ばかり、濡色の鯛を一枚、しるし半纏という処を、めくら縞の筒袖を両方大肌脱ぎ、毛だらけの胸へ、釣身に取って、

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半島一奇抄

泉鏡花

半島一奇抄 泉鏡花 「やあ、しばらく。」 記者が掛けた声に、思わず力が入って、運転手がはたと自動車を留めた。……実は相乗して席を並べた、修善寺の旅館の主人の談話を、ふと遮った調子がはずんで高かったためである。 「いや、構わず……どうぞ。」 振向いた運転手に、記者がちょっとてれながら云ったので、自動車はそのまま一軋りして進んだ。 沼津に向って、浦々の春遅き景色

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木の子説法

泉鏡花

木の子説法 泉鏡花 「――鱧あみだ仏、はも仏と唱うれば、鮒らく世界に生れ、鯒へ鯒へと請ぜられ……仏と雑魚して居べし。されば……干鯛貝らいし、真経には、蛸とくあのく鱈――」 ……時節柄を弁えるがいい。蕎麦は二銭さがっても、このせち辛さは、明日の糧を思って、真面目にお念仏でも唱えるなら格別、「蛸とくあのく鱈。」などと愚にもつかない駄洒落を弄ぶ、と、こごとが出そう

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鷭狩

泉鏡花

鷭狩 泉鏡花 一 初冬の夜更である。 片山津(加賀)の温泉宿、半月館弓野屋の二階――だけれど、広い階子段が途中で一段大きく蜿ってS形に昇るので三階ぐらいに高い――取着の扉を開けて、一人旅の、三十ばかりの客が、寝衣で薄ぼんやりと顕れた。 この、半ば西洋づくりの構は、日本間が二室で、四角な縁が、名にしおうここの名所、三湖の雄なる柴山潟を見晴しの露台の誂ゆえ、硝子

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みさごの鮨

泉鏡花

みさごの鮨 泉鏡花 一 「旦那さん、旦那さん。」 目と鼻の前に居ながら、大きな声で女中が呼ぶのに、つい箸の手をとめた痩形の、年配で――浴衣に貸広袖を重ねたが――人品のいい客が、 「ああ、何だい。」 「どうだね、おいしいかね。」 と額で顔を見て、その女中はきょろりとしている。 客は余り唐突なのに驚いたようだった。――少い経験にしろ、数の場合にしろ、旅籠でも料理

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売色鴨南蛮

泉鏡花

売色鴨南蛮 泉鏡花 一 はじめ、目に着いたのは――ちと申兼ねるが、――とにかく、緋縮緬であった。その燃立つようなのに、朱で処々ぼかしの入った長襦袢で。女は裙を端折っていたのではない。褄を高々と掲げて、膝で挟んだあたりから、紅がしっとり垂れて、白い足くびを絡ったが、どうやら濡しょびれた不気味さに、そうして引上げたものらしい。素足に染まって、その紅いのが映りそう

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伯爵の釵

泉鏡花

伯爵の釵 泉鏡花 一 このもの語の起った土地は、清きと、美しきと、二筋の大川、市の両端を流れ、真中央に城の天守なお高く聳え、森黒く、濠蒼く、国境の山岳は重畳として、湖を包み、海に沿い、橋と、坂と、辻の柳、甍の浪の町を抱いた、北陸の都である。 一年、激しい旱魃のあった真夏の事。 ……と言うとたちまち、天に可恐しき入道雲湧き、地に水論の修羅の巷の流れたように聞え

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玉川の草

泉鏡花

玉川の草 泉鏡花 ――これは、そゞろな秋のおもひでである。青葉の雨を聞きながら―― 露を其のまゝの女郎花、浅葱の優しい嫁菜の花、藤袴、また我亦紅、はよく伸び、よく茂り、慌てた蛙は、蒲の穂と間違へさうに、(我こそ)と咲いて居る。――添へて刈萱の濡れたのは、蓑にも織らず、折からの雨の姿である。中に、千鳥と名のあるのは、蕭々たる夜半の風に、野山の水に、虫の声と相触

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栃の実

泉鏡花

栃の実 泉鏡花 朝六つの橋を、その明方に渡った――この橋のある処は、いま麻生津という里である。それから三里ばかりで武生に着いた。みちみち可懐い白山にわかれ、日野ヶ峰に迎えられ、やがて、越前の御嶽の山懐に抱かれた事はいうまでもなかろう。――武生は昔の府中である。 その年は八月中旬、近江、越前の国境に凄じい山嘯の洪水があって、いつも敦賀――其処から汽車が通じてい

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若菜のうち

泉鏡花

若菜のうち 泉鏡花 春の山――と、優に大きく、申出でるほどの事ではない。われら式のぶらぶらあるき、彼岸もはやくすぎた、四月上旬の田畝路は、些とのぼせるほど暖い。 修善寺の温泉宿、新井から、――着て出た羽織は脱ぎたいくらい。が脱ぐと、ステッキの片手の荷になる。つれの家内が持って遣ろうというのだけれど、二十か、三十そこそこで双方容子が好いのだと野山の景色にもなろ

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七宝の柱

泉鏡花

七宝の柱 泉鏡花 山吹つつじが盛だのに、その日の寒さは、俥の上で幾度も外套の袖をひしひしと引合せた。 夏草やつわものどもが、という芭蕉の碑が古塚の上に立って、そのうしろに藤原氏三代栄華の時、竜頭の船を泛べ、管絃の袖を飜し、みめよき女たちが紅の袴で渡った、朱欄干、瑪瑙の橋のなごりだと言う、蒼々と淀んだ水の中に、馬の首ばかり浮いたような、青黒く朽古びた杭が唯一つ

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錦染滝白糸 ――其一幕――

泉鏡花

場所。 信州松本、村越の家 人物。 村越欣弥(新任検事) 滝の白糸(水芸の太夫) 撫子(南京出刃打の娘) 高原七左衛門(旧藩士) おその、おりく(ともに近所の娘) 撫子。円髷、前垂がけ、床の間の花籠に、黄の小菊と白菊の大輪なるを莟まじり投入れにしたるを視め、手に三本ばかり常夏の花を持つ。 傍におりく。車屋の娘。 撫子 今日は――お客様がいらっしゃるッて事だか

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紅玉

泉鏡花

紅玉 泉鏡花 時。 現代、初冬。 場所。 府下郊外の原野。 人物。 画工。侍女。(烏の仮装したる) 貴夫人。老紳士。少紳士。小児五人。 ――別に、三羽の烏。(侍女と同じ扮装) 小児一 やあ、停車場の方の、遠くの方から、あんなものが遣って来たぜ。小児二 何だい何だい。小児三 ああ、大なものを背負って、蹌踉々々来るねえ。小児四 影法師まで、ぶらぶらしているよ。小

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