Vol. 2May 2026

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14,981종 중 2,832종 표시

夜叉ヶ池

泉鏡花

場所  越前国大野郡鹿見村琴弾谷 時   現代。――盛夏 人名  萩原晃(鐘楼守) 百合(娘) 山沢学円(文学士) 白雪姫(夜叉ヶ池の主) 湯尾峠の万年姥(眷属) 白男の鯉七 大蟹五郎 木の芽峠の山椿 鯖江太郎 鯖波次郎 虎杖の入道 十三塚の骨 夥多の影法師 黒和尚鯰入(剣ヶ峰の使者) 与十(鹿見村百姓) その他大勢 鹿見宅膳(神官) 権藤管八(村会議員)

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貝の穴に河童の居る事

泉鏡花

雨を含んだ風がさっと吹いて、磯の香が満ちている――今日は二時頃から、ずッぷりと、一降り降ったあとだから、この雲の累った空合では、季節で蒸暑かりそうな処を、身に沁みるほどに薄寒い。…… 木の葉をこぼれる雫も冷い。……糠雨がまだ降っていようも知れぬ。時々ぽつりと来るのは――樹立は暗いほどだけれど、その雫ばかりではなさそうで、鎮守の明神の石段は、わくら葉の散ったの

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薬草取

泉鏡花

薬草取 泉鏡花 一 日光掩蔽  地上清涼  靉靆垂布  如可承攬 其雨普等  四方倶下  流樹無量  率土充洽 山川険谷  幽邃所生  卉木薬艸  大小諸樹 「もし憚ながらお布施申しましょう。」 背後から呼ぶ優しい声に、医王山の半腹、樹木の鬱葱たる中を出でて、ふと夜の明けたように、空澄み、気清く、時しも夏の初を、秋見る昼の月の如く、前途遥なる高峰の上に日輪を

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A Picture-Book Spring

絵本の春

泉鏡花

もとの邸町の、荒果てた土塀が今もそのままになっている。……雪が消えて、まだ間もない、乾いたばかりの――山国で――石のごつごつした狭い小路が、霞みながら一条煙のように、ぼっと黄昏れて行く。 弥生の末から、ちっとずつの遅速はあっても、花は一時に咲くので、その一ならびの塀の内に、桃、紅梅、椿も桜も、あるいは満開に、あるいは初々しい花に、色香を装っている。石垣の草に

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海神別荘

泉鏡花

海神別荘 泉鏡花 時。 現代。 場所。 海底の琅殿。 人物。 公子。沖の僧都。(年老いたる海坊主)美女。博士。 女房。侍女。(七人)黒潮騎士。(多数) 森厳藍碧なる琅殿裡。黒影あり。――沖の僧都。 僧都 お腰元衆。侍女一 (薄色の洋装したるが扉より出づ)はい、はい。これは御僧。僧都 や、目覚しく、美しい、異った扮装でおいでなさる。侍女一 御挨拶でございます。

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天守物語

泉鏡花

天守物語 泉鏡花 時  不詳。ただし封建時代――晩秋。日没前より深更にいたる。所  播州姫路。白鷺城の天守、第五重。登場人物 天守夫人、富姫。(打見は二十七八)岩代国猪苗代、亀の城、亀姫。(二十ばかり)姫川図書之助。(わかき鷹匠)小田原修理。山隅九平。(ともに姫路城主武田播磨守家臣)十文字ヶ原、朱の盤坊。茅野ヶ原の舌長姥。(ともに亀姫の眷属)近江之丞桃六。(

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春昼

泉鏡花

「お爺さん、お爺さん。」 「はあ、私けえ。」 と、一言で直ぐ応じたのも、四辺が静かで他には誰もいなかった所為であろう。そうでないと、その皺だらけな額に、顱巻を緩くしたのに、ほかほかと春の日がさして、とろりと酔ったような顔色で、長閑かに鍬を使う様子が――あのまたその下の柔な土に、しっとりと汗ばみそうな、散りこぼれたら紅の夕陽の中に、ひらひらと入って行きそうな―

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妖怪年代記

泉鏡花

妖怪年代記 泉鏡花 一 予が寄宿生となりて松川私塾に入りたりしは、英語を学ばむためにあらず、数学を修めむためにあらず、なほ漢籍を学ばむことにもあらで、他に密に期することのありけるなり。 加州金沢市古寺町に両隣無き一宇の大廈は、松山某が、英、漢、数学の塾舎となれり。旧は旗野と謂へりし千石取の館にして、邸内に三件の不思議あり、血天井、不開室、庭の竹藪是なり。 事

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星あかり

泉鏡花

星あかり 泉鏡花 もとより何故という理はないので、墓石の倒れたのを引摺寄せて、二ツばかり重ねて台にした。 その上に乗って、雨戸の引合せの上の方を、ガタガタ動かして見たが、開きそうにもない。雨戸の中は、相州西鎌倉乱橋の妙長寺という、法華宗の寺の、本堂に隣った八畳の、横に長い置床の附いた座敷で、向って左手に、葛籠、革鞄などを置いた際に、山科という医学生が、四六の

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雪の翼

泉鏡花

雪の翼 泉鏡花 柏崎海軍少尉の夫人に、民子といつて、一昨年故郷なる、福井で結婚の式をあげて、佐世保に移住んだのが、今度少尉が出征に就き、親里の福井に歸り、神佛を祈り、影膳据ゑつつ座にある如く、家を守つて居るのがあつた。 旅順の吉報傳はるとともに幾干の猛將勇士、或は士卒――或は傷つき骨も皮も散々に、影も留めぬさへある中に夫は天晴の功名して、唯纔に左の手に微傷を

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旅僧

泉鏡花

去にし年秋のはじめ、汽船加能丸の百餘の乘客を搭載して、加州金石に向ひて、越前敦賀港を發するや、一天麗朗に微風船首を撫でて、海路の平穩を極めたるにも關はらず、乘客の面上に一片暗愁の雲は懸れり。 蓋し薄弱なる人間は、如何なる場合にも多くは己を恃む能はざるものなるが、其の最も不安心と感ずるは海上ならむ。 然れば平日然までに臆病ならざる輩も、船出の際は兎や角と縁起を

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雪霊続記

泉鏡花

雪靈續記 泉鏡花 一 機會がおのづから來ました。 今度の旅は、一體はじめは、仲仙道線で故郷へ着いて、其處で、一事を濟したあとを、姫路行の汽車で東京へ歸らうとしたのでありました。――此列車は、米原で一體分身して、分れて東西へ馳ります。 其が大雪のために進行が續けられなくなつて、晩方武生驛(越前)へ留つたのです。強ひて一町場ぐらゐは前進出來ない事はない。が、然う

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Chronicle of a Snow Spirit

雪霊記事

泉鏡花

雪靈記事 泉鏡花 一 「此のくらゐな事が……何の……小兒のうち歌留多を取りに行つたと思へば――」 越前の府、武生の、侘しい旅宿の、雪に埋れた軒を離れて、二町ばかりも進んだ時、吹雪に行惱みながら、私は――然う思ひました。 思ひつゝ推切つて行くのであります。 私は此處から四十里餘り隔たつた、おなじ雪深い國に生れたので、恁うした夜道を、十町や十五町歩行くのは何でも

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人魚の祠

泉鏡花

人魚の祠 泉鏡太郎 一 「いまの、あの婦人が抱いて居た嬰兒ですが、鯉か、鼈ででも有りさうでならないんですがね。」 「…………」 私は、默つて工學士の其の顏を視た。 「まさかとは思ひますが。」 赤坂の見附に近い、唯ある珈琲店の端近な卓子で、工學士は麥酒の硝子杯を控へて云つた。 私は卷莨を點けながら、 「あゝ、結構。私は、それが石地藏で、今のが姑護鳥でも構ひませ

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蛇くひ

泉鏡花

蛇くひ 泉鏡太郎 西は神通川の堤防を以て劃とし、東は町盡の樹林境を爲し、南は海に到りて盡き、北は立山の麓に終る。此間十里見通しの原野にして、山水の佳景いふべからず。其川幅最も廣く、町に最も近く、野の稍狹き處を郷屋敷田畝と稱へて、雲雀の巣獵、野草摘に妙なり。 此處往時北越名代の健兒、佐々成政の別業の舊跡にして、今も殘れる築山は小富士と呼びぬ。 傍に一本、榎を植

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お花見雑感

泉鏡花

お花見雜感 泉鏡花 四五年といふもの逗子の方へ行つてゐたので、お花見には御無沙汰した。全體彼地では汐風が吹くせゐか木が皆小さくて稀に二三株有つても色も褪せて居るやうだから、摘草などをこそすれつい/\花を見る事は先づすくないのである、と言つて花時に出ても來ないし、愈々以て遠々しくは成つたものの、何もお花見だからと言つて異裝なんかする事はさう別に奬勵するにも及ば

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吉原新話

泉鏡花

吉原新話 泉鏡花 一 表二階の次の六畳、階子段の上り口、余り高くない天井で、電燈を捻ってフッと消すと……居合わす十二三人が、皆影法師。 仲の町も水道尻に近い、蔦屋という引手茶屋で。間も無く大引けの鉄棒が廻ろうという時分であった。 閏のあった年で、旧暦の月が後れたせいか、陽気が不順か、梅雨の上りが長引いて、七月の末だというのに、畳も壁もじめじめする。 もっとも

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海異記

泉鏡花

海異記 泉鏡花 一 砂山を細く開いた、両方の裾が向いあって、あたかも二頭の恐しき獣の踞ったような、もうちっとで荒海へ出ようとする、路の傍に、崖に添うて、一軒漁師の小家がある。 崖はそもそも波というものの世を打ちはじめた昔から、がッきと鉄の楯を支いて、幾億尋とも限り知られぬ、潮の陣を防ぎ止めて、崩れかかる雪のごとく鎬を削る頼母しさ。砂山に生え交る、茅、芒はやが

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朱日記

泉鏡花

朱日記 泉鏡花 一 「小使、小ウ使。」 程もあらせず、……廊下を急いで、もっとも授業中の遠慮、静に教員控所の板戸の前へ敷居越に髯面……というが頤頬などに貯えたわけではない。不精で剃刀を当てないから、むじゃむじゃとして黒い。胡麻塩頭で、眉の迫った渋色の真正面を出したのは、苦虫と渾名の古物、但し人の好い漢である。 「へい。」 とただ云ったばかり、素気なく口を引結

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妖術

泉鏡花

妖術 泉鏡花 一 むらむらと四辺を包んだ。鼠色の雲の中へ、すっきり浮出したように、薄化粧の艶な姿で、電車の中から、颯と硝子戸を抜けて、運転手台に顕われた、若い女の扮装と持物で、大略その日の天気模様が察しられる。 日中は梅の香も女の袖も、ほんのりと暖かく、襟巻ではちと逆上せるくらいだけれど、晩になると、柳の風に、黒髪がひやひやと身に染む頃。もうちと経つと、花曇

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草あやめ

泉鏡花

草あやめ 泉鏡花 二丁目の我が借家の地主、江戸児にて露地を鎖さず、裏町の木戸には無用の者入るべからずと式の如く記したれど、表門には扉さへなく、夜が更けても通行勝手なり。但知己の人の通り抜け、世話に申す素通りの無用たること、我が思もかはらず、然りながらお附合五六軒、美人なきにしもあらずと雖も、濫に垣間見を許さず、軒に御神燈の影なく、奥に三味の音の聞ゆる類にあら

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眉かくしの霊

泉鏡花

眉かくしの霊 泉鏡花 一 木曾街道、奈良井の駅は、中央線起点、飯田町より一五八哩二、海抜三二〇〇尺、と言い出すより、膝栗毛を思う方が手っ取り早く行旅の情を催させる。 ここは弥次郎兵衛、喜多八が、とぼとぼと鳥居峠を越すと、日も西の山の端に傾きければ、両側の旅籠屋より、女ども立ち出でて、もしもしお泊まりじゃござんしないか、お風呂も湧いていずに、お泊まりなお泊まり

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いろ扱ひ

泉鏡花

いろ扱ひ 泉鏡花 これは作者の閲歴談と云ふやうなことに聞えますと、甚だ恐縮、ほんの子供の内に読んだ本についてお話をするのでございますよ。此頃は皆さんに読んで戴いて誠に御迷惑をかけますが、私は何うして、皆さんのお書きなすつた物を拝見して、迷惑処か、こんな結構なものはないと思ふんです。其ですが、江戸時代の文学だの、明治の文学だのと云ふ六ヶ敷いことになると、言ひ悪

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醜婦を呵す

泉鏡花

醜婦を呵す 泉鏡花 村夫子は謂ふ、美の女性に貴ぶべきは、其面の美なるにはあらずして、単に其意の美なるにありと。何ぞあやまれるの甚しき。夫子が強ちに爾き道義的誤謬の見解を下したるは、大早計にも婦人を以て直ちに内政に参し家計を調ずる細君と臆断したるに因るなり。婦人と細君と同じからむや、蓋し其間に大差あらむ。勿論人の妻なるものも、吾人が商となり工となり、はた農とな

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