Vol. 2May 2026

Buku

Perpustakaan pengetahuan dunia domain publik

14,981종 중 3,936종 표시

下手の横好き ―将棋いろいろ―

南部修太郎

=1=町内の好敵手 住み馴れてやがて三十年、今では僕も町内一二の古顏になつてしまつたが、麻布區新龍土町といふと、うしろに歩兵第三聯隊のモダアン兵營を控えた戸數六七十の一區劃だが、ロオマ法王使節館、土耳古公使館、佛蘭士大使館武官館以下西洋人の住宅が非常に多い外になかなか特色のある住人を持つてゐる。公爵、男爵、老政客、天文學博士、實業家など、藝苑では一時的に中村

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下町

林芙美子

下町 林芙美子 風が冷いので、りよは陽の当たる側を選んで歩いた。なるべく小さい家を目的にして歩く。昼頃だつたので、一杯の茶にありつける家を探した。軒づたひに、工事場のやうな板塀を曲つて、銹びた鉄材の積み重ねてある奥をのぞくと、硝子戸の中で、ぱちぱちと火の弾ぜてゐる小舎があつた。後から自転車で来た男が、片足を地へつけて「葛飾の区役所はどこだね?」と訊いた。りよ

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下町娘

長谷川時雨

下町娘 長谷川時雨 江戸の女を語るには、その階級から語らなければならない。 武家と町人――それはその時代の何處にもカツキリとされた區別であるが、江戸にはもひとつの別階級がある、職人である。 下町娘の總稱は、町人、職人を一つにまとめて、日本橋、京橋、芝、神田、下谷、淺草、本所、深川に住んでゐた、下町つ子の娘をさしてさう呼ぶ。だが、その下町娘の中に二種類があると

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下町歳事記

正岡容

亡くなられた泉鏡花先生のお作の中でも、「註文帳」は当然代表作の一つに数へていいものだらう。殊に雪もやひの日の鏡研ぎ五助の家のただずまひ、雪明りの夜の吉原の撥橋、おなじ雪の夜更けの紅梅屋敷――情が、姿が、廓の景色が、マザマザ手に取るやうに浮かんで来てたゞたゞ敬服のほかはない。 が、あの五助の家のくだりであぐねてゐた空から白いものがチラつきだし、軈て「唯一白」の

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下谷練塀小路

正岡容

私は下谷練塀小路河内山宗俊屋敷に誕生した故であらう、かの市井無頼の遊侠徒たる河内山に対して平常並々ならぬ好意と親愛の情をおぼえないわけには行かない。されば戦前戦中、また戦後の今日も屡々私は青山高徳寺にその墓を掃つてゐる。高徳寺はかの梅窓院の向ふ横即ち青山電話交換局の建物に副つて右折、さらに西へと一、二丁入つた右側の寺である。この寺のやゝ手前左側にはかの鈴木主

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不動像の行方

田中貢太郎

不動像の行方 田中貢太郎 本話 寒い風に黄ばんだ木の葉がばらばらと散っていた。斗賀野の方から山坂を越えて来た山内監物の一行は、未明からの山稼ぎに疲労し切っていた。一行は六七人であった。その中には二疋の犬が長い舌を出し出し交っていた。路の右手に夕陽を浴びた寺の草屋根が見えて来た。 「あすこに寺があったかなあ」と、監物は銃を左の肩に置きかえて云った。 「ありまし

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不可入性

中原中也

自分の感情に自分で作用される奴はなんとまあ 伽藍なんだ欲しくても取つてはならぬ気もあります好きと嫌ひで生きてゐる女には一番明白なものが一番漠然たるものでした空想は植物性です女は空想なんです女の一生は空想と現実との間隙の弁解で一杯です取れといふ時は植物的な萎縮をし取らなくても好いといへば煩悶し取るなといへば闘牛師の夫を夢みますそれから次の日の夕方に何といひまし

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不可解な失恋に就て

坂口安吾

不可解な失恋に就て 坂口安吾 人あるところに恋あり、各人各様千差万別の恋愛が地上に営まれてゐることはいふまでもないことであらうが、見方によればどの恋も似寄つたものだといへないことはない。文学や映画の恋の筋書が似寄つたものであるやうに、人生の恋の筋書も似寄つてゐる。あまつさへ人生の恋はむしろ概して先人の型を摸することが甚だ多く、いつぱし自らの情意のままに思ふと

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不器用な天使

堀辰雄

不器用な天使 堀辰雄 1 カフエ・シヤノアルは客で一ぱいだ。硝子戸を押して中へ入つても僕は友人たちをすぐ見つけることが出來ない。僕はすこし立止つてゐる。ジヤズが僕の感覺の上に生まの肉を投げつける。その時、僕の眼に笑つてゐる女の顏がうつる。僕はそれを見にくさうに見つめる。するとその女は白い手をあげる。その手の下に、僕はやつと僕の友人たちを發見する。僕はその方に

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不器男句集 02 不器男句集

芝不器男

芝不器男君は、俳壇に流星のごとく現はれて流星のごとくに去つた、若き熱情の作家である。 が君の熱情は、登山家としての魁偉なる風に、つねに沈黙と微笑とをうち湛へた湖のしづけさを思はしめた。だからその作品の表現も、うち湛へた湖から白鳥の飛翔したやうな、静寂な気韻が伝はらないものは、君の満足するものではなかつた。この心境は、君のあるいて行つた人生のすべてに於てもさう

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不審庵

太宰治

不審庵 太宰治 拝啓。暑中の御見舞いを兼ね、いささか老生日頃の愚衷など可申述候。老生すこしく思うところ有之、近来ふたたび茶道の稽古にふけり居り候。ふたたび、とは、唐突にしていかにも虚飾の言の如く思召し、れいの御賢明の苦笑など漏し給わんと察せられ候も、何をか隠し申すべき、われ幼少の頃より茶道を好み、実父孫左衛門殿より手ほどきを受け、この道を伝授せらるる事数年に

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不尽の高根

小島烏水

不尽の高根 小島烏水 一 江戸と東京の富士 帰朝したのは、本年三月であった。横浜の波止場で、家族と友人の出迎えを受け、久しぶりで逢いたい顔に逢ったが、ただ一つ逢えない顔があった。それから暫らくのこと、私の勤務先は、日本橋の三越デパートメントの裏で、日本銀行と向いあったところだが、その建物の中で私たちが占めている室からは、太田道灌以来の名城を、松の緑の間に、仰

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不幸

梶井基次郎

師走のある寒い夜のことである。 閉め切った戸をがたごと鳴らしながら吹き過ぎる怖ろしい風の音は母親の不安をつのらせるばかりだった。 その日は昼下りから冬の陽の衰えた薄日も射さなかった。雪こそは降り出さなかったが、その灰色をした雪雲の下に、骨を削ったような櫟や樫の木立は、寒い木枯に物凄い叫びをあげていた。 それは冬になってからの初めての寒い日で、その忍従な母親に

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不思議の国のアリス ミュージカル版

キャロルルイス

アリス 妖精たち 白ウサギ 芋虫 公爵夫人 コック チェシア猫 帽子屋 弥生ウサギ ヤマネ トランプの兵隊 ハートのクイーン ハートのキング ハートのジャック 処刑人 グリフォン ウミガメフーミ 白のチェスのコマたち 白のクイーン 白のキング ユリ バラ 赤のクイーン チードルダン チードルデー セイウチ 大工 ハンプティダンプティ 赤のチェスのコマたちと馬

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不思議な帽子

豊島与志雄

不思議な帽子 豊島与志雄 一 ある大都会の大通りの下の下水道に、悪魔が一匹住んでいました。まっ暗な中でねずみやこうもりなんかと一緒に、下水の中の汚物等をあさって暮らしていました。ところがある時、下水道の中に上の方から明るい光がさしていましたので、何だろうと思って寄ってゆくと、下水道の掃除口が半分ばかり開いているのです。悪魔は何の気もなくその掃除口につかまって

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不思議な機構

坂口安吾

不思議な機構 坂口安吾 「馬車物語」(新東宝)の撮影に、伊豆へロケーションに行ったことを徳川夢声氏が随筆に書いている。日夜の酒宴である。たまに撮影がある。夕方五時になると、お時間です、とピタリとやめる。昔から映画界には、時間と金をかければ良い作品ができる、という迷信があったようだ。チャップリンが何々に三年もかかった、百万ドル映画だ、そういうことが宣伝の文句だ

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不思議な船

牧野信一

あゝさうか、今日は土曜日だつたね。諸君おそろひでよく来たね、さあ遠慮なくずつと此方へ来給へ。何、お話? またかい。よくお話に倦きないね。よろしいやるよ。面白いお話を。 静かにしてようく聞いてゐるんだよ。今は昔、昔は今と、即ちワンス、アツポン、エ、タイム、そこに一艘の船があつた。何とまあ不思議なことには、その船には船員がひとりも乗つてゐないのである。夫だのにそ

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不思議な鳥

小川未明

車屋夫婦のものは淋しい、火の消えたような町に住んでいる。町は半ば朽ちて灰色であった。 町には古い火の見櫓が立っていた。櫓の尖には鉄葉製の旗があった。その旗は常に東南の方向に靡いていた。北西の風が絶えず吹くからである。また湯屋があった、黒い烟が、町の薄緑色の夕空に上っている……車屋の家は、軒の傾いた小さな店で蝋燭屋の隣りにあったが、日が暮れると直に戸を閉めてし

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不思議な鳥

田山花袋

実行と芸術との問題は、今でも新しい問題であらねばならぬ。実行と芸術とは離るべからざるものであつて、そして猶且つ離れなければならないものである。それは実行のあるところに、必ずしも芸術があると限つてゐないからである。また実行がなくとも芸術はいくらでも立派に成立するからである。だから芸術に於ては閑文字だからと言つて捨て去ることは出来ない。また無内容だからと言つて、

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不死の薬

小川未明

ある夏の夜でありました。三人の子供らが村の中にあった大きなかしの木の下に集まって話をしました。昼間の暑さにひきかえて、夜は涼しくありました。ことにこの木の下は風があって涼しゅうございました。 赤く西の山に日が沈んでしまって、ほんのりと紅い雲がいつまでも消えずに、林の間に残っていましたが、それすらまったく消えてしまいました。夜の空は深い沼の中をのぞくように青黒

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不老長寿の秘訣

北大路魯山人

美味談も考えてみるとなかなか容易ではない。前に木下の『美味求真』、大谷光瑞の『食』、村井弦斎の『食道楽』、波多野承五郎の『食味の真髄を探る』、大河内正敏の『味覚』など、それぞれ一家の言を表わしてはいるものの、実際、美味問題になると、いずれも表わし得たりと学ぶに足るほどのものはない。 各々美味道楽の体験に貧困が窺えて敬読に価いしない恨みがある。というのは、料理

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不肖の兄

豊島与志雄

不肖の兄 豊島与志雄 敏子 なぜ泣くんだ。何も泣くことはありゃしない。嬉しいのか、悲しいのか……いや兎に角、こんな時に泣く奴があるものか。 僕も悪かった。がそりゃあ、皆が云う通りの不肖の兄、そういう僕なんだから、おかしな理屈だが、まあ名前に免じて許してくれよ。 僕は知らなかったんだ、お前と浜地との間を……あの翌朝まで。薄々は分ってたようにも後では思えるが、全

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不良児

葛西善蔵

一月末から一ヶ月半ほど、私は東京に出てゐた。こんなことは今度が初めてと云ふわけではないので、私はいつものやうにFは學校へは行つてゐることと思つてゐた。ところが半月ほど經つて出したお寺からの手紙には、Fは私が出た後全然學校を休んで、いくらすゝめても私が歸るまで學校へは行かないと云つて、困るから、私に早く歸るやうにと云つて來てゐた。またその後だつたが、東京の或る

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不良少年とキリスト

坂口安吾

不良少年とキリスト 坂口安吾 もう十日、歯がいたい。右頬に氷をのせ、ズルフォン剤をのんで、ねている。ねていたくないのだが、氷をのせると、ねる以外に仕方がない。ねて本を読む。太宰の本をあらかた読みかえした。 ズルフォン剤を三箱カラにしたが、痛みがとまらない。是非なく、医者へ行った。一向にハカバカしく行かない。 「ハア、たいへん、よろしい。私の申上げることも、ズ

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