Vol. 2May 2026

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Pengakuan Setengah Hidupku

予が半生の懺悔

Futabatei Shimei

予が半生の懺悔 二葉亭四迷 私の文学上の経歴――なんていっても、別に光彩のあることもないから、話すんなら、寧そ私の昔からの思想の変遷とでもいうことにしよう。いわば、半生の懺悔談だね……いや、この方が罪滅しになって結句いいかも知れん。 そこでと、第一になぜ私が文学好きなぞになったかという問題だが、それには先ずロシア語を学んだいわれから話さねばならぬ。それはこう

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『それから』予告

夏目漱石

『それから』予告 夏目漱石 色々な意味に於てそれからである。「三四郎」には大学生の事を描たが、此小説にはそれから先の事を書いたからそれからである。「三四郎」の主人公はあの通り単純であるが、此主人公はそれから後の男であるから此点に於ても、それからである。此主人公は最後に、妙な運命に陥る。それからさき何うなるかは書いてない。此意味に於ても亦それからである。

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予告殺人事件

坂口安吾

予告殺人事件 坂口安吾 敵は中小都市の予告爆撃というものをやりだしたが、これはつまり予告殺人事件と同じ性質のものだと思われる。予告殺人事件といえば概して復讐などの場合、ただ殺しては面白くないというので予告を与え、恐怖混乱せしめ苦痛を多くして満足しようという悪質残忍なものである。 尤も、予告することによって真の犯罪意図をくらまそうとするのも予告殺人に於ける一つ

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予告殺人事件

坂口安吾

予告殺人事件 坂口安吾 敵は中小都市の予告爆撃といふものをやりだしたが、これはつまり予告殺人事件と同じ性質のものだと思はれる。予告殺人事件といへば概して復讐などの場合、たゞ殺しては面白くないといふので予告を与へ、恐怖混乱せしめ苦痛を多くして満足しようといふ悪質残忍なものである。 尤も、予告することによつて真の犯罪意図をくらまさうとするのも予告殺人に於ける一つ

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予審調書

平林初之輔

予審調書 平林初之輔 一 「あなたの御心配もよくお察ししますが、わたしの立場も少しは考えて頂かないと困ります。何しろ、規則は規則ですから、予審中に御子息に面会をお許しするわけにもゆきませんし、予審の内容を申し上げることも絶対にできないのですからねえ。こんなことは、私が申し上げるまでもなく十分おわかりになっているでしょうが……」 篠崎予審判事は、裁判官に特有の

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予の恋愛観

牧野信一

先日東京から遊びにきた(古典派洋画家と自ら称ふ)友人と珍しく僕は海辺を歩ひた。大きな松の傍にきた時彼は突然「うむ……これか……」と叫んで立ち止つた。で僕が怪し気な顔をすると彼は「君は此処に住んでゐてこれを知らないのか。」と更に怪し気な顔で僕を見返つた。さうゆうわけで僕が驚いたのではない。彼の調子が余りに唐突だつたからである。紅葉山人の記念碑で僕は前から知つて

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予の描かんと欲する作品

夏目漱石

予の描かんと欲する作品 夏目漱石 如何なるものを描かんと欲するかとの御質問であるが、私は、如何なるものをも書きたいと思う。自分の能力の許す限りは、色々種類の変化したものを書きたい。自分の性情に適したものは、なるべく多方面に亙って書きたい。然し、私のような人間であるから、それは単に希望丈けで、其希望通りに書くことは出来ないかも知れぬ。で、御質問に対して漠然とし

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予が本年発表せる創作に就いて 努力の不足を痛感す

牧野信一

今年は、ほんの短いものまで数へて四篇位ひしか発表しなかつた。書いたのも略同様だつた。「気持」に囚はれて、ついそれをあくどくして了ふのがいけない。様々な意味で努力の足りなかつたことを痛感する。「妄想患者」といふのは今迄書いたものゝうちでも一番長いものだから、いつも繰り返す失敗を可成り注意したつもりだが感じた。だが割合に少なかつたとは思つてゐる。これに就いて見た

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予が本年発表せる創作に就いて 沢山書いた

牧野信一

四月に書いた「父を売る子」は思ひ出すだけでも閉口したが、此頃になつては澄んだ心で夢のやうな気がする。三月の始めに十二三枚書いて、たしか退屈してそれなりに放つておいたのだが、その月に父が急死した、そして四月になつてから凋まうとする心に鞭打つて更に十二三枚附けたして発表した。 その後書いた「父の百ヶ日前後」は自分の最初の力作のつもりである。これを書きあげてから、

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予が見神の実験

綱島梁川

この篇は世の宗教的経験深き人に示さん為めにはあらずして唯だ心洵に神を求めて宗教的生活に入らんとする世の多くの友に薦めんとて也。 予は今予みづからの見神の実験につきて語る所あらむとす。この事、予に於いては多少心苦しからざるに非ず。されど、予は今、世の常の自慮や、心配ひを一切打遺てて、出来るだけ忠実に、明確に、予が見たる所を語らでは已み難き一つの使命を有するを感

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予言

久生十蘭

安部忠良の家は十五銀行の破産でやられ、母堂と二人で、四谷谷町の陽あたりの悪い二間きりのボロ借家に逼塞していた。姉の勢以子は外御門へ命婦に行き、七十くらいになっていた母堂が鼻緒の壺縫いをするというあっぷあっぷで、安部は学習院の月謝をいくつもためこみ、どうしようもなくなって麻布中学へ退転したが、そこでもすぐ追いだされ、結局、いいことにして絵ばかり描いていた。 二

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予言者の家で

マンパウル・トーマス

奇妙な場所が、奇妙な脳髄が、精神の棲む奇妙な領域がある――高いところに、みすぼらしく。街燈の数が次第に乏しくなって、憲兵が二人ずつ歩くあの大都会の場末で、われわれは家々の階段を、もうこれ以上昇れぬというところまで昇らねばならぬ。若い蒼白な天才たち――夢の犯罪者たちが腕をこまぬいたなり、物思いにふけっている、あの斜めになった屋根部屋まで、孤独の、激越な、心をむ

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予謀殺人

フリーマンリチャード・オースティン

よい酒を送ってくれといって、それに相当する金を送ってきた人に、わるい酒を送る商人は、面とむかって非難されてもしかたがないどころか、ことによると、法律上の罪人になるかもしれない。それは、道徳的にいって、不愉快な同室者をさけるため、一等切符をかって一人おさまっている乗客のそばに、そのいやがる同室者をおしつける鉄道会社と同罪なのである。が、もともと、ハーバート・ス

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カピッツア争い

中谷宇吉郎

カピッツア教授といえば、英才雲と群る英国ケンブリッジ物理学界でも錚々たるものであった。同教授はロシア人で一九二九年在外研究員としてケンブリッジへ派遣され、ラザフォード卿の下で強力磁場の作成にその非凡の能力を発揮するや、英学界は彼のために新研究所を作りその所長に任じたのである。 彼が其処で作った三十万ガウスの磁場は、幾多の輝かしい研究を生んだ。そしてその研究の

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争われない事実

小林多喜二

争われない事実 小林多喜二 誰よりも一番親孝行で、一番おとなしくて、何時でも学校のよく出来た健吉がこの世の中で一番恐ろしいことをやったという――だが、どうしても母親には納得がいかなかった。見廻りの途中、時々寄っては話し込んで行く赫ら顔の人の好い駐在所の旦那が、――「世の中には恐ろしい人殺しというものがある、詐偽というものもある、強盗というものもある。然し何が

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争議の翌日

賀川豊彦

雨ふる日、 さみだれの、 小溝の流、 渦巻きし、 濁れる水に、 小笹おち、 吸われるように、 流され行くを、 じっと 眺めいる 自分の心。 激動の 同盟罷工の翌日―― 何とはなしに 涙ぐまるるよ、 おお 小笹の運命よ! 小笹の運命よ! (近江八幡にて大電争議の翌日)(『改造』一九二一年七月号に「捷ちし日の翌日」と題して発表 一九六三年六月キリスト新聞社刊『賀

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オスカー・ブロズキー事件

フリーマンリチャード・オースティン

良心という言葉は、いろいろの意味に解釈されている。ある人はこれを苛責と解釈しているが、この苛責すなわち remorse の re は再びを意味し、morse は噛むを意味しているところから、学究的にむつかしく考える人は、良心のことを「再び噛む」というのである。それからまた、一方では良心をごく気楽に考える人もあって、そんなことが、幸福と幸福でないことの、決定的

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ゴールデン・バット事件

海野十三

ゴールデン・バット事件 海野十三 1 あの夜更、どうしてあの寂しい裏街を歩いていたのかと訊かれると、私はすこし顔が赭くなるのだ。 兎に角、あれは省線の駅の近所まで出て、円タクを拾うつもりで歩いていたのだった。連れが一人あった。帆村荘六なる男である。――例の素人探偵の帆村氏だった。 「君の好きらしい少女は、いつの間にやら居なくなったじゃないか」と帆村が云った。

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「マリー・ロオジェ事件」の研究

小酒井不木

「マリー・ロオジェ事件」の研究 小酒井不木 一、序言 ポオの探偵小説「マリー・ロオジェ事件」は、言う迄もなく、一八四一年七月、紐育を騒がせたメリー・ロオジャース殺害事件を、パリーに起った出来事として物語に綴り、オーギュスト・ヂュパンをして、その迷宮入りの事件に、明快なる解決を与えさせたものである。小説は一八四二年十一月に発表されたのであって、一八五〇年に出た

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事実にたって 一月六日アカハタ「火ばな」の投書について

宮本百合子

はなしはちょっとさかのぼるが、一月六日アカハタ「火ばな」に「宮本さんの話」という投書があった。一月も六日といえば、選挙闘争に本腰がはいって、その日の紙面もトップに田中候補が信州上田で藤村の「破戒に学ぼう」と闘っているニュースをのせ、四日には「新春いろどる新入党」と作家・芸能人の入党記事はなやかだった。すべての記事が選挙闘争めざしてプラスに統一されているなかに

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事実と感想

小川未明

学生の時分、暑中休暇に田舎へ帰って、百姓に接したときは、全くそこに都会から独立した生活があったように感じられたものです。 彼らの信じている迷信というものも、その人たちにとっては、不調和ということがなく、却って、そこに営まれつつある生活が、都会における物質的な文明から独立して、何ものか深い暗示と一種の慰藉を人生に与えるもののごとく感じられたのでした。 それは原

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二、三の山名について

木暮理太郎

この一篇は昭和三年六月十日、霧の旅会創立第十周年紀念大会の席上で述べた話の原稿を纏めて、改訂増補したものであるが、もとより未定稿であって、ほんの一寸した思い付を述べたに過ぎない、謂わば夢物語に似たようなものであるから、予め左様御承知を願って置きたい。尚お南洋系語は主として文学博士坪井九馬三氏の『倭人考』に拠り、仏蘭西極東学校出版の『チアム仏語辞典』『マレイ英

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二三の追憶

堀辰雄

一高の頃のことを考へると、いまでもときをり逢ふことのある友達のことよりか、もうお逢ひできさうもない先生方のことがひとしほなつかしく思ひ出される。…… 私になつかしい先生の一人は石川光春先生である。あのうすぐらい階段教室ではじめて先生の講義をきいたときは、植物學といふものが實に高尚な學問のやうにおもはれ、急に自分までが大人になつたやうな氣がした。いま考へてみる

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