Vol. 2May 2026

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樗牛の事

芥川竜之介

樗牛の事 芥川龍之介 一 中学の三年の時だった。三学期の試験をすませたあとで、休暇中読む本を買いつけの本屋から、何冊だか取りよせたことがある。夏目先生の虞美人草なども、その時その中に交っていたかと思う。が、中でもいちばん大部だったのは、樗牛全集の五冊だった。 自分はそのころから非常な濫読家だったから、一週間の休暇の間に、それらの本を手に任せて読み飛ばした。も

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一塊の土

芥川竜之介

一塊の土 芥川龍之介 お住の倅に死別れたのは茶摘みのはじまる時候だつた。倅の仁太郎は足かけ八年、腰ぬけ同様に床に就いてゐた。かう云ふ倅の死んだことは「後生よし」と云はれるお住にも、悲しいとばかりは限らなかつた。お住は仁太郎の棺の前へ一本線香を手向けた時には、兎に角朝比奈の切通しか何かをやつと通り抜けたやうな気がしてゐた。 仁太郎の葬式をすました後、まづ問題に

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Toshishun

杜子春

芥川竜之介

一 或春の日暮です。 唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでゐる、一人の若者がありました。 若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を費ひ尽して、その日の暮しにも困る位、憐な身分になつてゐるのです。 何しろその頃洛陽といへば、天下に並ぶもののない、繁昌を極めた都ですから、往来にはまだしつきりなく、人や車が通つてゐました。門一ぱいに当つ

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トロツコ

芥川竜之介

トロツコ 芥川龍之介 小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まつたのは、良平の八つの年だつた。良平は毎日村外れへ、その工事を見物に行つた。工事を――といつた所が、唯トロツコで土を運搬する――それが面白さに見に行つたのである。 トロツコの上には土工が二人、土を積んだ後に佇んでゐる。トロツコは山を下るのだから、人手を借りずに走つて来る。煽るやうに車台が動いたり、

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虎の話

芥川竜之介

虎の話 芥川龍之介 師走の或夜、父は五歳になる男の子を抱き、一しよに炬燵へはひつてゐる。 子 お父さん何かお話しをして! 父 何の話? 子 何でも。……うん、虎のお話が好いや。 父 虎の話? 虎の話は困つたな。 子 よう、虎の話をさあ。 父 虎の話と。……ぢや虎の話をして上げよう。昔、朝鮮のらつぱ卒がね、すつかりお酒に酔つ払らつて、山路にぐうぐう寝てゐたとさ

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点鬼簿

芥川竜之介

僕の母は狂人だった。僕は一度も僕の母に母らしい親しみを感じたことはない。僕の母は髪を櫛巻きにし、いつも芝の実家にたった一人坐りながら、長煙管ですぱすぱ煙草を吸っている。顔も小さければ体も小さい。その又顔はどう云う訳か、少しも生気のない灰色をしている。僕はいつか西廂記を読み、土口気泥臭味の語に出合った時に忽ち僕の母の顔を、――痩せ細った横顔を思い出した。 こう

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手紙

芥川竜之介

手紙 芥川龍之介 僕は今この温泉宿に滞在しています。避暑する気もちもないではありません。しかしまだそのほかにゆっくり読んだり書いたりしたい気もちもあることは確かです。ここは旅行案内の広告によれば、神経衰弱に善いとか云うことです。そのせいか狂人も二人ばかりいます。一人は二十七八の女です。この女は何も口を利かずに手風琴ばかり弾いています。が、身なりはちゃんとして

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二つの手紙

芥川竜之介

二つの手紙 芥川龍之介 ある機会で、予は下に掲げる二つの手紙を手に入れた。一つは本年二月中旬、もう一つは三月上旬、――警察署長の許へ、郵税先払いで送られたものである。それをここへ掲げる理由は、手紙自身が説明するであろう。 第一の手紙 ――警察署長閣下、 先ず何よりも先に、閣下は私の正気だと云う事を御信じ下さい。これ私があらゆる神聖なものに誓って、保証致します

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たね子の憂鬱

芥川竜之介

たね子の憂鬱 芥川龍之介 たね子は夫の先輩に当るある実業家の令嬢の結婚披露式の通知を貰った時、ちょうど勤め先へ出かかった夫にこう熱心に話しかけた。 「あたしも出なければ悪いでしょうか?」 「それは悪いさ。」 夫はタイを結びながら、鏡の中のたね子に返事をした。もっともそれは箪笥の上に立てた鏡に映っていた関係上、たね子よりもむしろたね子の眉に返事をした――のに近

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煙草と悪魔

芥川竜之介

煙草と悪魔 芥川龍之介 煙草は、本来、日本になかつた植物である。では、何時頃、舶載されたかと云ふと、記録によつて、年代が一致しない。或は、慶長年間と書いてあつたり、或は天文年間と書いてあつたりする。が、慶長十年頃には、既に栽培が、諸方に行はれてゐたらしい。それが文禄年間になると、「きかぬものたばこの法度銭法度、玉のみこゑにげんたくの医者」と云ふ落首が出来た程

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秋山図

芥川竜之介

秋山図 芥川龍之介 「――黄大癡といえば、大癡の秋山図をご覧になったことがありますか?」 ある秋の夜、甌香閣を訪ねた王石谷は、主人の南田と茶を啜りながら、話のついでにこんな問を発した。 「いや、見たことはありません。あなたはご覧になったのですか?」 大癡老人黄公望は、梅道人や黄鶴山樵とともに、元朝の画の神手である。南田はこう言いながら、かつて見た沙磧図や富春

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酒虫

芥川竜之介

酒虫 芥川龍之介 一 近年にない暑さである。どこを見ても、泥で固めた家々の屋根瓦が、鉛のやうに鈍く日の光を反射して、その下に懸けてある燕の巣さへ、この塩梅では中にゐる雛や卵を、そのまゝ蒸殺してしまふかと思はれる。まして、畑と云ふ畑は、麻でも黍でも、皆、土いきれにぐつたりと頭をさげて、何一つ、青いなりに、萎れてゐないものはない。その畑の上に見える空も、この頃の

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出帆

芥川竜之介

出帆 芥川龍之介 成瀬君 君に別れてから、もう一月の余になる。早いものだ。この分では、存外容易に、君と僕らとを隔てる五、六年が、すぎ去ってしまうかもしれない。 君が横浜を出帆した日、銅鑼が鳴って、見送りに来た連中が、皆、梯子伝いに、船から波止場へおりると、僕はジョオンズといっしょになった。もっとも、さっき甲板ではちょいと姿を見かけたが、その後、君の船室へもサ

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俊寛

芥川竜之介

俊寛様の話ですか? 俊寛様の話くらい、世間に間違って伝えられた事は、まずほかにはありますまい。いや、俊寛様の話ばかりではありません。このわたし、――有王自身の事さえ、飛でもない嘘が伝わっているのです。現についこの間も、ある琵琶法師が語ったのを聞けば、俊寛様は御歎きの余り、岩に頭を打ちつけて、狂い死をなすってしまうし、わたしはその御死骸を肩に、身を投げて死んで

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侏儒の言葉

芥川竜之介

侏儒の言葉 芥川龍之介 「侏儒の言葉」の序 「侏儒の言葉」は必しもわたしの思想を伝えるものではない。唯わたしの思想の変化を時々窺わせるのに過ぎぬものである。一本の草よりも一すじの蔓草、――しかもその蔓草は幾すじも蔓を伸ばしているかも知れない。 星 太陽の下に新しきことなしとは古人の道破した言葉である。しかし新しいことのないのは独り太陽の下ばかりではない。 天

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素描三題

芥川竜之介

素描三題 芥川龍之介 一 お宗さん お宗さんは髪の毛の薄いためにどこへも縁づかない覚悟をしてゐた。が、髪の毛の薄いことはそれ自身お宗さんには愉快ではなかつた。お宗さんは地肌の透いた頭へいろいろの毛生え薬をなすつたりした。 「どれも広告ほどのことはないんですよ。」 かういふお宗さんも声だけは善かつた。そこで賃仕事の片手間に一中節の稽古をし、もし上達するものとす

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将軍

芥川竜之介

将軍 芥川龍之介 一 白襷隊 明治三十七年十一月二十六日の未明だった。第×師団第×聯隊の白襷隊は、松樹山の補備砲台を奪取するために、九十三高地の北麓を出発した。 路は山陰に沿うていたから、隊形も今日は特別に、四列側面の行進だった。その草もない薄闇の路に、銃身を並べた一隊の兵が、白襷ばかり仄かせながら、静かに靴を鳴らして行くのは、悲壮な光景に違いなかった。現に

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少年

芥川竜之介

少年 芥川龍之介 一 クリスマス 昨年のクリスマスの午後、堀川保吉は須田町の角から新橋行の乗合自働車に乗った。彼の席だけはあったものの、自働車の中は不相変身動きさえ出来ぬ満員である。のみならず震災後の東京の道路は自働車を躍らすことも一通りではない。保吉はきょうもふだんの通り、ポケットに入れてある本を出した。が、鍛冶町へも来ないうちにとうとう読書だけは断念した

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捨児

芥川竜之介

「浅草の永住町に、信行寺と云う寺がありますが、――いえ、大きな寺じゃありません。ただ日朗上人の御木像があるとか云う、相応に由緒のある寺だそうです。その寺の門前に、明治二十二年の秋、男の子が一人捨ててありました。それがまた生れ年は勿論、名前を書いた紙もついていない。――何でも古い黄八丈の一つ身にくるんだまま、緒の切れた女の草履を枕に、捨ててあったと云う事です。

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素戔嗚尊

芥川竜之介

高天原の国も春になった。 今は四方の山々を見渡しても、雪の残っている峰は一つもなかった。牛馬の遊んでいる草原は一面に仄かな緑をなすって、その裾を流れて行く天の安河の水の光も、いつか何となく人懐しい暖みを湛えているようであった。ましてその河下にある部落には、もう燕も帰って来れば、女たちが瓶を頭に載せて、水を汲みに行く噴き井の椿も、とうに点々と白い花を濡れ石の上

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早春

芥川竜之介

早春 芥川龍之介 大学生の中村は薄い春のオヴァ・コオトの下に彼自身の体温を感じながら、仄暗い石の階段を博物館の二階へ登っていった。階段を登りつめた左にあるのは爬虫類の標本室である。中村はそこへはいる前に、ちょっと金の腕時計を眺めた。腕時計の針は幸いにもまだ二時になっていない。存外遅れずにすんだものだ、――中村はこう思ううちにも、ほっとすると言うよりは損をした

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漱石山房の秋

芥川竜之介

漱石山房の秋 芥川龍之介 夜寒の細い往来を爪先上りに上つて行くと、古ぼけた板屋根の門の前へ出る。門には電灯がともつてゐるが、柱に掲げた標札の如きは、殆ど有無さへも判然しない。門をくぐると砂利が敷いてあつて、その又砂利の上には庭樹の落葉が紛々として乱れてゐる。 砂利と落葉とを踏んで玄関へ来ると、これも亦古ぼけた格子戸の外は、壁と云はず壁板と云はず、悉く蔦に蔽は

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葬儀記

芥川竜之介

葬儀記 芥川龍之介 離れで電話をかけて、皺くちゃになったフロックの袖を気にしながら、玄関へ来ると、誰もいない。客間をのぞいたら、奥さんが誰だか黒の紋付を着た人と話していた。が、そこと書斎との堺には、さっきまで柩の後ろに立ててあった、白い屏風が立っている。どうしたのかと思って、書斎の方へ行くと、入口の所に和辻さんや何かが二、三人かたまっていた。中にももちろん大

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芥川竜之介

ある春の午過ぎです。白と云う犬は土を嗅ぎ嗅ぎ、静かな往来を歩いていました。狭い往来の両側にはずっと芽をふいた生垣が続き、そのまた生垣の間にはちらほら桜なども咲いています。白は生垣に沿いながら、ふとある横町へ曲りました。が、そちらへ曲ったと思うと、さもびっくりしたように、突然立ち止ってしまいました。 それも無理はありません。その横町の七八間先には印半纏を着た犬

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