Vol. 2May 2026

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Perpustakaan pengetahuan dunia domain publik

14,981종 중 2,088종 표시

地球盗難

海野十三

「ほんとうかなア、――」 と、河村武夫はつい口に出してしまった。 「えッ、ほんとうて、何のことなの」 武夫と一緒に歩いていたお美代は、怪訝な顔をして武夫の方にすり寄った。 「イヤ何でもないことだよ。……只ネス湖の怪物がネ」 「ネス湖の怪物? 怪物て、どんなもの。お化けのことじゃない」 武夫はもう中学の三年、お美代の方は高等小学を終ったばかり、子供にしてはもう

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海底大陸

海野十三

三千夫少年の乗り組んだ海の女王といわれる巨船クイーン・メリー号は、いま大西洋のまっただなかを航行中だった。 ニューヨークを出たのが七月一日だったから、きょうは三日目の七月三日にあたる。油のようにないだ海面を、いま三十ノットの快速を出して航行している。あと二日たてばフランスのシェルブール港にはいる予定だった。 ちょうど時刻は昼さがり。食堂もひととおり片づいて、

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海野十三敗戦日記

海野十三

はしがき 二週間ほど前より、帝都もかねて覚悟していたとおり「空襲される都」とはなった。 米機B29の編隊は、三日にあげず何十機も頭上にきて、爆弾と焼夷弾の雨をふらせ、あるいは悠々と偵察して去る。 味方の戦闘機の攻撃もはげしくなり、地上部隊の高射撃もだいぶんうまくなった。被害は今までのところ軽微である。 これからさらに空襲は激化して行くであろう。そこで特に、こ

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蠅男

海野十三

蠅男 海野十三 発端 問題の「蠅男」と呼ばれる不可思議なる人物は、案外その以前から、われわれとおなじ空気を吸っていたのだ。 只われわれは、よもやそういう奇怪きわまる生物が、身辺近くに棲息していようなどとは、夢にも知らなかったばかりだった。 まことにわれわれは、へいぜい目にも耳にもさとく、裏街の抜け裏の一つ一つはいうにおよばず、溝板の下に三日前から転がっている

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地中魔

海野十三

地中魔 海野十三 少年探偵三浦三吉 永く降りつづいた雨がやっとやんで、半月ぶりにカラリと空が晴れわたった。晴れると同時に、陽の光はジリジリと暑さをもって来た。 ここは東京丸の内にある有名な私立探偵帆村荘六氏の探偵事務所だ。 少年探偵の三浦三吉は、今しも外出先から汗まみれになって帰って来たところだ。いきなり上衣とシャツとを脱ぎすてると、乾いたタオルでゴシゴシと

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恐怖の口笛

海野十三

恐怖の口笛 海野十三 逢う魔が時刻 秋も十一月に入って、お天気はようやく崩れはじめた。今日も入日は姿を見せず、灰色の雲の垂れ幕の向う側をしのびやかに落ちてゆくのであった。時折サラサラと吹いてくる風の音にも、どこかに吹雪の小さな叫び声が交っているように思われた。 いま東京丸ノ内のオアシス、日比谷公園の中にも、黄昏の色がだんだんと濃くなってきた。秋の黄昏れ時は、

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海野十三

蠅 海野十三 小春日和の睡さったらない。白い壁をめぐらした四角い部屋の中に机を持ちこんで、ボンヤリと肘をついている。もう二時間あまりもこうやっている。身体がジクジクと発酵してきそうだ。 白い天井には、黒い蠅が停っている。停っているがすこしも動かない。生きているのか、死んでいるのか、それとも木乃伊になっているのか。 それにしても、蠅が沢山いることよ。おお、みん

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爬虫館事件

海野十三

爬虫館事件 海野十三 1 前夜の調べ物の疲れで、もう少し寝ていたいところを起された私立探偵局の帆村荘六だった。 「お越し下すったのは、どんな方かね」 「ご婦人です」助手の須永が朗らかさを強いて隠すような調子で答えた。「しかも年齢の頃は二十歳ぐらいの方です」 (なにが、しかもだ)と帆村はパジャマの釦を一つ一つ外しながら思った。この手でも確かに目は醍る。…… 「

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夜泣き鉄骨

海野十三

夜泣き鉄骨 海野十三 1 真夜中に、第九工場の大鉄骨が、キーッと声を立てて泣く―― という噂が、チラリと、わしの耳に、入った。 「そんな、莫迦な話が、あるもんか!」 わしは、検査ハンマーを振る手を停めて、カラカラと笑った。 「そう笑いなさるけどナ、組長さん」その噂を持ってきた職工は、慄えた眼を、わしの方に向けて云った。「昨夜のことなんだよ、それは……。火の番

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空襲葬送曲

海野十三

空襲葬送曲 海野十三 父の誕生日に瓦斯マスクの贈物 「やあ、くたびれた、くたびれた」家中に響きわたるような大声をあげて、大旦那の長造が帰って来た。 「おかえりなさいまし」お内儀のお妻は、夫の手から、印鑑や書付の入った小さい折鞄をうけとると、仏壇の前へ載せ、それから着換えの羽織を衣桁から取って、長造の背後からフワリと着せてやった。「すこし時間がおかかりなすった

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遊星植民説

海野十三

遊星植民説 海野十三 「編集長、ではもう外に伺ってゆくことは御座いませんネ」 「まアそんなところだね。とにかく相手は学界でも特に有名な変り者なんだから、君の美貌と、例のサービスとを武器として、なんとか記事にしてきて貰いたい。その成績によっては、君の常々欲しいと云っておったロードスターを購ってやらんものでもない」 「アラ、きっと御約束しましたワ。ロードスターを

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ネオン横丁殺人事件

海野十三

ネオン横丁殺人事件 海野十三 1 近頃での一番さむい夜だった。 暦のうちでは、まだ秋のなかに数えられる日だったけれど、太陽の黒点のせいでもあろうか、寒暖計の水銀柱はグンと下の方へ縮んでしまい、その夜更け、戸外に或いは立ち番をし、或いは黙々として歩行し、或いは軒下に睡りかけていた連中の誰も彼もは、公平にたてつづけの嚔を発し、 「ウウウン、今夜は莫迦に冷えやがる

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電気看板の神経

海野十三

電気看板の神経 海野十三 冒頭に一応断っておくがね、この話では、登場人物が次から次へとジャンジャン死ぬることになっている――というよりも「殺戮される」ことになっているといった方がいいかも知れない。そういう点に於て「グリーン家の惨劇」以来、血に乾いている探偵小説の読者には、きっと受けることだろうと思うんだ。しかし小説ならば兎に角、いやしくも実話であるこの物語に

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空中墳墓

海野十三

空中墳墓 海野十三 ぽっかり、眼が醒めた。 ガチャリ、ガチャリ、ゴーウウウ。 四十階急行のエレベーターが昇って来たのだった。 「誰か来たナ」 まだ半ば夢心地の中に、そう感じた。職業意識のあさましさよ、か。 この四五日というものは夜半から暁にかけてまでも活躍をつづけたので身体は綿のごとく疲れていた。それだのに、思ったほどの熟睡もとれず、神経は尖る一方であった。

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電気風呂の怪死事件

海野十三

電気風呂の怪死事件 海野十三 1 井神陽吉は風呂が好きだった。 殊に、余り客の立て混んでいない昼湯の、あの長閑な雰囲気は、彼の様に所在のない人間が、贅沢な眠から醒めたのちの体の惰気を、そのまま運んでゆくのに最も適した場所であった。 それに、昨日今日の日和に、冬の名残が冷んやりと裸体に感ぜられながらも、高い天井から射し込む眩しい陽光を、恥しい程全身に浴びながら

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人間灰

海野十三

人間灰 海野十三 1 赤沢博士の経営する空気工場は海抜一千三百メートルの高原にある右足湖畔に建っていた。この空気工場では、三年ほどの間に雇人がつぎつぎに六人も、奇怪なる失踪をした。そして今に至るも、誰一人として帰って来なかった。 ずいぶん永いことになるので、多分もう誰も生きていないだろうと云われているが、ここに一つの不思議な噂があった。それは彼の雇人が失踪す

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麻雀殺人事件

海野十三

麻雀殺人事件 海野十三 1 それは、目下売出しの青年探偵、帆村荘六にとって、諦めようとしても、どうにも諦められない彼一生の大醜態だった。 帆村探偵ともあろうものが、ヒョイと立って手を伸ばせば届くような間近かに、何時間も坐っていた殺人犯人をノメノメと逮捕し損ったのだった。いや、それどころではない、帆村探偵は、直ぐ鼻の先で演じられていた殺人事件に、始めから終いま

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深夜の市長

海野十三

「深夜の市長」に始めて会ったのは、陽春とは名ばかりの、恐ろしく底冷えのする三月二十九日の夜のことだった。 ラジオの気象通報は、中国大陸にあった高気圧が東行してかなり裏日本に迫り、北西風が強く吹き募ってきたことを報じた上、T市地方は二、三日うちにまた雪になるでしょうと有難くない予報をアナウンスした。 そのアナウンスもやがてぷっつりと切れ、暗黒なエーテルの漂う夜

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予報省告示

海野十三

予報省告示 海野十三 人暦一万九百四十六年十三月九日 本日を以て地球は原子爆弾を惹起し、大爆発は二十三時間に亘って継続した後、地球は完全にガス状と化す。 尚、このガス状地球が、果して新星雲にまで発展し得るや、それとも宇宙塵として低迷するに過ぎざるや、目下のところ予報資料不足のため推定しがたい。 人暦一万八百年 地球は今や第五氷河期の惨禍より脱するに至った。

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宇宙女囚第一号

海野十三

宇宙女囚第一号 海野十三 イー・ペー・エル研究所に絵里子をたずねた僕は、ついに彼女に会うことができず、そのかわり普段はろくに口をきいたこともない研究所長マカオ博士に手をとられんばかりにして、その室に招じられたものである。この思いがけない博士の待遇に、僕は面くらったばかりか、なんだか変な気持さえ生じた。 「おうほ、絵里子はね、――」 おうほと、博士独特の妙な感

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透明猫

海野十三

透明猫 海野十三 崖下の道 いつも通りなれた崖下を歩いていた青二だった。 崖の上にはいい住宅がならんでいた。赤い屋根の洋館もすくなくない。 崖下の道の、崖と反対の方は、雑草のはえしげった低い堤が下の方へおちこんでいて、その向うに、まっ黒にこげた枕木利用の垣がある。その中にはレールがあって、汽車が走っている。 青二は、この道を毎日のように往復する。それは放送局

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特許多腕人間方式

海野十三

特許多腕人間方式 海野十三 1 ×月×日 雨。 午前十時、田村町特許事務所に出勤。 雫の垂れた洋傘をひっさげて、部屋の扉を押して入ったとたんに、応接椅子の上に、腰を下ろしていた見慣れぬ仁が、ただならぬ眼光で、余の方をふりかえった。 事件依頼の客か。門前雀羅のわが特許事務所としては、ちかごろ珍らしいことだ。 「よう、先生。特許弁理士の加古先生はあんたですな」

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人造人間殺害事件

海野十三

その早暁、まだ明けやらぬ上海の市街は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に沈澱していた。窓という窓の厚ぼったい板戸をしっかり下した上に、隙間隙間にはガーゼを詰めては置いたのだが、霧はどこからともなく流れこんできて廊下の曲り角の灯が、夢のようにボンヤリ潤み、部屋のうちまで、上海の濃霧に特有な生臭い匂いが侵入していたのであった。 その日の午前五時には本部から特

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地球発狂事件

海野十三

この突拍子もない名称をかぶせられた「地球発狂事件」は、実はその前にもう一つの名称で呼ばれていた。それは「巨船ゼムリヤ号発狂事件」というのであった。これは前代未聞のこの怪事件を最初に発見し、そしてその現場に一番乗りをした上に、全世界の報道網に対し輝かしき第一報を打つことに成功したデンマーク新報のアイスランド支局員ハリ・ドレゴの命名によるものであった。巨船ゼムリ

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