戻る
小熊秀雄全集-02 詩集(1)初期詩篇
Table of Contents
小熊秀雄全集-02 詩集(1)初期詩篇
小熊秀雄
Reading Settings
文字サイズ
18px
テーマ
ライト
ダーク
セピア
ナイトアイ
行間
読書モード
翻訳 Pagera AI
原文 Public Domain
Chapter 4 of 69

乳房の室

壁も天井も丸テーブルもすべてが肉でみんなぶるぶるふるへて

みんなだるい汗をながして

歩るくとじわじわと音がして

からだが上つたり下つたりする

棚におかれた肉製の百目蝋燭が

げんわくの香気をはなして

じゆじゆとあぶらのもえるやうに

恋のほのほがねんせうする。

×

乳房の室のたそがれには

あかい服の侏儒たちがあせみどろになつて

媚薬の調合に

かちかちとふらすこを試験管をならす

室にならべられた水晶の壺にくすりがいつぱい溢れたとき甘い媚薬の蜜に

たくましい白蟻が集ひ

よつて、踊つてなげいてゐる

そしてみにくい争闘に日をくらす。

Chapter 4 of 69
|