Chapter 1 of 1

Chapter 1

足を伸ばす

体の横に手を垂れて

目を閉じる

ねむろうとして自分の呼吸を聞いている

かならず闇がおそいかかる夜というもの

夜はかならずきて

わたしはかならずねむったにちがいなかった

夜が来ればねむったであろう

そして夜

ねむれぬままにも

ねむったであろう

五十年の美しい昼と夜

一個の生きとし生きる者として

春の花

冬の雪にも

お前はいたのか

お前はいたのか

お前は赤ん坊でもあったのか

あのようにも美しい

桃のようでもあったのか

いまねむろうとして

夜の闇が

いま はじめて見るもののように冴えて来る

●図書カード

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