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幽霊島
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Nguyên bản Public Domain
Chapter 4 of 14

第四章

船内は真っ暗、舷窓のわずかな光を頼りに、船長があわてて舵を切った。電動スクリュウが水中でブーン、ギイギイきしみ、銀白の泡を長く後ろに引いた。ますます暗くなり、ついに潜水艇の方向が分からなくなった。まさに墨汁の海、光も射さぬ暗闇を通過していたが、海上の傍観者にはわからない。船長が指でハロルドに合図した。実際、手話のみ可能だ。会話なんて、できっこない。

ふいに暗闇が過ぎ去り、あたかもトンネルから真っ昼間に出て、まるで海水が高密度、いや光りの通過層になったかのようだ。柔らかく舷窓から差し込む光りは笠付電球のよう。深海なのに、すべてが見え、夜光がある。ついに海底に着いた。

二人は船外に出て、溶岩の上に立った。沈島は溶岩に覆われているようだ。科酸管をまた使った。二人の眼にはこの場所に水が無いばかりか、薄い空気のように見えた。周りは砂や泥や海草に覆われた平原、そこよりずっと高所に立っていたので、何キロメートルも周囲が見渡せて、しばらく立ち止まり、うっとり景色を眺めた。

大げさでなく、とても奇怪だ。今まで人が行ったことが無いからだ。景色にときめき、好奇心を刺激された。全然、海中とは思えず、感じず、液体の陽光、いやむしろ空気に浸っているみたいで、魚は海中を泳いでなく浮いているようで、物理法則や重力を完全に無視している。

そばを怪魚が行き交い、巨大なシタガレイは並の食卓よりでかく、エビもどきはハロルドの肩まである。足元にはカキ、この世の人間が見たこともない大きさだ。二枚貝は閉じたり、開いたりして、すべて巨大な真珠を持ち、輝いている。だが甲羅みたいな貝殻に手を入れるのはむちゃだ。ハロルドが強引に岩石を口の中に入れると、強力な力でパッと閉じて、大石を粉砕し、ナスミスハンマでハシバミの実を砕くかのようだった。

両人の前には、陸地でいう水平線のかなたまで、砂地が平らに伸び、あらゆる種類の魚が戯れ、無言劇俳優の怪脳なら、名前を考えつこう。ウナギは異常に長く、黒縞と赤斑点の美しい銀魚は鮭のよう、別の奇怪な生き物は頭と口だけというありさま。すべてが勢揃い、一匹として、小物や小魚はいない。

両人の立ち位置から沈島を見ると、はっきりと形が見え、ありていに言えばロブスターの爪のようで、この形から昔、つまり島が浮いている時、内陸湾だったに違いない。

船長が相棒に手話で告げた。

「ここが暗号に記された場所に違いない。形はよく分かった。でも先に進む前に、わしと同じように武装しろ。このドロマイト弾をうんと携帯しろ。すぐ一匹や二匹、海の怪物に出くわすぞ、深海はやさしくない」

ハロルドが爆薬をとって、帆布袋に入れ背中にしょって出発した。その時は沈島探査以上の何かに引きつけられた。つまり隠し財宝の手掛かりを見つける以上の何かがあった。

左手の巨大海草の森は現世最長の木より高く、まさに巨木林というにふさわしい。木と言うなれば、木々は接近しているけど侵入できないほど密生してないし、下草ぼうぼうというわけでもない。ハロルドが手話で言った。

「もっと見たいです。特に用事があるわけじゃありませんが、好奇心がうずきます」

「反対はしない。行ってみろ。科酸管は十分長いから、ある程度いける」

二人は水の抵抗にあらがい、全力で前進した。海底の平地に着くと、船長が大群の魚を指差した。暗闇から来たようで明らかに二人に向かっている。だんだん近づくとハロルドが驚いた。一番獰猛なサメ種と分かったからだ。

実に凶暴な怪魚で総数十数匹。一匹として体長十メートル以下のものはおらず、胴周り四メートル以下のものもいない。強力なあごを開いてズラリ並んだ恐ろしい鋸歯を見せて近づくと、ほかの魚は怖れをなして逃げた。

船長がドロマイト弾を二発さっと取り出した。

「落ち着け、命に関わるぞ。残忍な怪獣の気を明らかに引いてしまった。奴らはまだ我々の始末方法を決めとらん。一匹が突進するまで待て。その時、狙い定めて弾を食らわす」

どうやらサメは人間並の分別を持っているようだ。雁首をそろえ、初めて見る妙な敵をどう攻撃しようか算段している。

凶暴な奴が一~二匹、近くに寄って来て薄灰色の体を見せ、あたかも強力な歯で食い殺す準備をするかのよう。それから更に凶暴な奴が一匹群れから飛び出し、尾びれを震わせ弓矢のごとく沈着勇敢な船長へ突進してきた。

十五メートル以上サメが近づかないうちに、船長が小さなぜんまいおもちゃを放すと、回転しながら水中を真っ直ぐ進むのが見え、いそいそ逢引する様子はミノウがクジラに会いに行くかのよう。

一瞬不安な間があったが、小さな投げ矢がリバイアサンに当ると、パッと光り、その場でぶるっと震え、完全消滅した。海がうっすら茶色に変わり、潜水艇の吹いた煙がどこからか漂ってきたようで、すべてが終わった。二匹目がハロルドに突進してきたが、同じ末路だ。

二人は成功に勇気づけられ前進し、サメの群れに次々ドロマイト弾を数十発撃ち込むと、サメは仕打ちを恐れて近寄らず、わずか三匹を残すだけになった。この三匹も、敵がおそろしく強いことを本能的に感じて、北へ逃げ、たちまち視界から消え、あまりにも急だったのですべてが夢のようだった。

「やりましたね。船長がドロマイト弾を考えつかなきゃ危なかったかもしれません」

海草の森へ行きながら船長が応じた。

「武装無しでは無茶だぞ。深海生物のことはアフリカやブラジル奥地以上に何も知らんのだぞ。誰が未開地のど真ん中へ丸腰で行くか。どんな理由があって、海にサメより危険なものがいないなんて考えるか。見たことが無いのだぞ。ブラジルの未開林にも人が見たこともないのがおる。道ばたで名前も知らぬ生物が吠えるのを聞いたことがあるから、深海も同じだし、今も夢想だにしない生物に出会った。もしわしが間違っていなければ、向うの森にはもっと奇妙なものがおる」

ついに、うっそうとした葉っぱの下をくぐり、しばし留まって素晴らしい景観に見入った。木々はでかく、堂々としているが、微風に揺れ動くかのようにふわふわ、くねくねして、巨大植物の幹は太いけれども、地上のように直立しておらず、どうやら海水に浮いているようだ。

実際、茎は柔らかく多孔質で、くすんだ赤黒いゼリーのようだ。多種多様な花をつけ、縞模様の色とりどりの大輪が咲き誇り、折り重なる葉は透明なものやら多彩な色やらで、全く表現できない。

いっそう森を幻想たらしめるのは、膨大な数のへんちくりんな生き物、枝を這うリスのようであり、頭が毛で覆われたネズミのようでもあり、長いカギ爪を持ち、魚のような先細の尾を持っている。

ハロルドが周りを見渡して叫んだ。

「なんて奇妙で美しいのだろう。夢にも見たことはない。連中が突然消えて隠れたのはなぜですか、まるで急に命を狙われたかのよう」

「下を見ろ、命に関わるぞ」

船長がこう言ったとき、どこからともなく現れた細い投げ縄のような長い巻きひげが、二十メートルほど伸びて、例の俊敏な動物の首に巻き付き、砂に叩きつけると、小動物は死んで動かなくなった。そのあと、投げ縄をたぐり寄せ、少し離れた巨岩のうしろに獲物と一緒に消えた。

ハロルドが少しビビって言った。

「あんなのを首にやんわり巻かれたらたまったもんじゃない。でも、ぜひ見たいですね」

「気をつけろ。あの岩の後ろにどんな怪物が隠れているか、神のみぞ知るだ。遠回りしろ」

二人が慎重に迂回して取りついた岩は、ゆうにさしわたし二百メートルある。下に空洞の岩棚があり、何か長い触手を動かしているのが見えた。間違いなく獲物を捕まえた触手だ。

前に出るのをためらっていると、かちかちという変な音がして、中に潜んでいた巨大なクモのような怪物が穴から這い出して、全身を砂上に現した。怒って警告しているようで、じっとにらんだ怪物が蛇のような触手を伸ばし、数メートルの距離にいる。

なんだ、ただのロブスターだ。だが何という代物だ、胴周りは六メートル、長さはその三倍、ハサミの大きさと言ったら、並の馬を挟み殺す事ができる。大きな口にのこぎりのような歯が並び、目は月のようにでかくまん丸、憤慨、警戒して、ぎらついている。

怒った猫のように背を丸め、細い足で立ち、何ならごつごつ甲羅の張り子と呼んでもいいが、飛びかかる用意をして、怒った丸い目で少し離れた獲物を見据え、ハサミをカチカチ鳴らし、歩兵中隊が一斉射撃をしたような轟音を出した。

「狙いは我々じゃありませんね。船長があんなハサミでちょん切られたらなんて……」

「我々が原因じゃない。我々には武器がある。別な敵がおるな。たぶん戦いが見られるぞ」

船長の手話が終わる寸前、下に別な危険生物が現れた。敵ロブスターだ。大きさも同程度、同じく猫のような態勢で前進し、今度は俺の番だとばかり、立ち止まって大きなハサミをカチカチ鳴らした。

奇妙で面白い活劇となった。怪物が触手を敵のハサミに投げ、鞭のようにしならせた。明らかに獲物を盗ろうとしている。敵も触手を投げ、威嚇して、今度こそ俺の番だと、ひるまない。巨体にしてはすばやく、怪物どもが互いに接近し、フーフーうなっている。

特有のうなり声をあげ、甲羅をガサガサ、ハサミをカチカチと恐ろしい音を出し、怪物どもがやにわに突進した直後、互いに転がり、噛み付き、うなる姿は二匹の大型犬が死ぬまで戦っているかのよう。ハサミとハサミ、甲羅と甲羅がぶつかり合い、砂や石が辺りに飛び散り、動作が余りにも早いので、奇妙な決闘の半分も識別できなかった。

一時間近く戦いが続き、次第に挑戦者が疲れて来たようで、尻尾を向けて自分の巣へ帰ろうとした。それが命取りだった。すかさず相手が背中に飛びつき、強力な大ハサミで頭をぐしゃっと砕くと、敵は砂にドンと倒れ、完全に動かなくなり、どうやら死んだようで、一方の勝者はさっと自分の隠れ場へ引き、無傷のようだ。

ハロルドが負けた怪物の方へ行きながら、

「何か分かるかもしれません。是非とも寸法を測りたいです」

語り終わらないうちに、まだ死んでいなかったロブスターがハサミを広げ、ハロルドの腰をがっしりはさんだ。もし科酸を体に注入していなかったら即死だったろう。

命が危ないと船長が即断した。死に損ないの怪物ですら、最強物質をじわじわ潰す力は十分残っているし、ロブスターの目がさっと充血したのを見れば、まだ仕返しの意思がある。ドロマイト弾を一発お見舞いする以外、方法がない。ハロルドの命は神の御心にすがるしかない。

一瞬間を置いてハロルドは砂上にぐたっと横たわり動かなくなり、ロブスターは海中に吹き飛んだ。その時ハロルドの生死は不明だった。

浮台の連中がやきもきしながら心配して見ていると、船長がハロルドを半ば引きずり半ば運ぶようにして、やっとのことで潜水艇へ収容して、まず科酸管を外した。

やがて潜水艇が最初ゆっくり、次に空気を噴出して急速に上昇してきた。

五分後、船長が出てきてハロルドを浮台に寝かせ、死んでいるようだったが、耳を胸に当てて心臓が少しでも動かないか必死に調べた。

Chapter 4 of 14
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