
円城塔 · Japanese
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円城塔 · Japanese
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Original (Japanese)
カーテンの向こうには窓があったが、夜一色に塗りつぶされて、なにも見えはしないのである。折角奮発してみた窓つき個室も、こうしてみると意味がなかった。硝子一枚隔ててしまうと、闇は鏡と変わらなくなる。鏡は闇より厄介だから、結局カーテンで隠してしまった。 出航がおおよそ19時、観光港着がだいたい7時ということだから、あらかじめわかっていたのである。そもそもが寝ている間の航海であり、外の景色を見たいのならば、甲板へ出ればそれですむ。実際、明石の橋と、緑に光る淡路島の観覧車とは外で眺めた。 窓はなくてもよかったが、その場合、カーテンがなければ嫌だ。ただの壁でもカーテンさえ下げてもらえば、その背後には窓があるかも知れなくて、窓がないならなぜカーテンをかけておくのかということになる。だから窓つきの個室をとることにした。 大阪から別府まで、瀬戸内の道を選んだ理由としては、歴史的な興味もそれとして、船が変に好きなのである。泳げないのに船好きというのはちょっと奇妙な気もするが、大きな船が沈んだ場合、泳げる泳げないはほぼ生存率と関係がない。特に冬場は水温の関係でまずすぐに死ぬ。公園のボートなどには乗らない。船

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