
大倉燁子 · Japanese
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大倉燁子 · Japanese
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Original (Japanese)
女流探偵桜井洋子のところへ、沼津の別荘に病気静養中の富豪有松武雄から、至急報の電話がかかり、御依頼したい件が出来た、至急にお出でを願いたい、と云ってきた。 有松は如才ない男だ。殊に婦人に対しては慇懃で物優しく、まことに立派な紳士であるが、どういうものか洋子は彼を好まなかったので、ちょっと行き渋ったが、職業柄理由なく断わるのもよくないと思い、午後四時四十分発の急行で、東京駅を立ったのだった。 汽車が小田原に着く頃には、ひあしの短い冬の日は、もうとっぷり暮れていた。 洋子はやっとある事件の解決をつけたばかり、ゆっくり休む暇もなく、直ちに車中の人となったので、座席に落付いてみると、一時に疲れが出てぐったりとなり、おまけにひどい睡魔に襲われて、ともすればうつらうつらとなるのだった。 ふと、近くで人の話声がした。彼女は夢のようにそれを聞いていた。声はどうやら通路あたりから聞えて来るように思われる。 「うまく行った。が、危ぶないところだった。何しろ、――客車全体にはッてやがるんだから――」 調子は荒っぽいが、声は細くて柔かい感じがした。返事は聞えない。 「どんなに手配したって、――目的を果すまでは

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