岸田国士
岸田国士 · Japanese
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岸田国士 · Japanese
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Original (Japanese)
内村直也の名は、いまや天下の知るところで、私の序文はこの書物になにものも附け足すことにはならぬが、需められるまゝに、「えり子とともに」の作者について、私の観るところを少し語ることにしよう。 劇作家内村直也が舞台戯曲においてその才能を示すと同時に、ラヂオ・ドラマにおいて独自の領域を開拓し、専門的にみて、ほとんどその第一人者と目されるに至つたことは、偶然のやうで決して偶然ではない。彼は誰よりも劇詩の本質とラヂオの機能とを結びつけるのにふさはしい資質に恵まれてゐたのである。 この問題を詳しく論じる暇はないが、私などのやうに、演劇そのものには興味をもちながら、ラヂオといふものには、日常その恩沢に浴しながら、機械構造についても研究的な態度でのぞんだことがなく、生活必需品としても甚だ冷淡な利用のしかたしかしないものからみると、内村直也は、まつたく別種の存在のやうに思はれる。 従つて、ラヂオ・ドラマなる新しい芸術形式の近代性を早くも身につけ、ラヂオ聴取者なるわれわれには正体のつかみにくい公衆の性格を誤りなくつかみ、そして、最もインティメイトな雰囲気のなかで、必要かつ十分な効果を活かすといふ創作技術を
岸田国士
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