小寺菊子 · 일본어
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원문 (일본어)
それは春とは云つても、まだ寒い頃であつた。北の海から冷々としたうら寂しい風が吹いて来て、空にはどことなく冬のやうな底重い雲が低く垂れ込めてゐた。庭の植込みを囲んであつた「雪除」がやつと取外されて、濃い緑色をした蘇鉄や棕櫚竹などが、初めて身軽になつたといふ風に、おづ/\と枝を張り幹を伸して、快げに自分々々の身を持返した。さうして、時をり降りそゝぐ小雨が、しと/\と湿つぽい温気をもたらしてくると、ふと庭の隅々から小さな草の芽生を見出すことが出来た。それでも北国の春はやつぱり寒いのであつた。どんよりとした鉛色の重い雲にとざゝれた陰鬱な日が、幾日も/\打ちつゞいた。 ある日――その日も朝から空が灰汁をまいたやうに薄暗くわびしげに曇つてゐた。その午後であつた。街から二里ばかり離れた村に住んでゐる源右衛門といふ男がお町の家を訪ねて来て、お町の父の為造と奥の座敷でひそ/\と何か話をしてゐた。二人の話が何となく家の人だちに或不安を与へた。為造にその頃さういふ風な内密らしいことが度々あつた。家の人だちはさういふ場合に接するのを、いつとなく虞れるやうになつてゐたのである。 為造はこの一二年前に、ある投機的
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小寺菊子
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