野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
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野村胡堂 · Japanese
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Original (Japanese)
「親分、お願ひがあるんですが――」 お品は斯う切り出します。石原の利助の一人娘、二十四五の年増盛りを、『娘御用聞』と言はれるのはわけのあることでせう。 「お品さんが私に頼み――へエ――それは珍らしいネ、腕づくや金づくぢや話に乘れないが、膝小僧の代りにはなるだらう。一體どんな事が持上がつたんだ」 錢形平次は氣輕にこんな事を言ひました。お品の話を、出來るだけ滑らかに手繰り出さうといふのでせう。何時でも、さう言つた心構へを忘れない平次だつたのです。 「お聽きでせう? 藏前の札差に強盜の入つた話を――」 「聽いたよ。たつた一人だが、疾風のやうな野郎で、泉屋の一家ばかり選つて荒して歩くといふ話だらう」 二た月ほど前から虱潰しに泉屋一家を荒して歩く曲者、――どんなに要心を重ねても、風の如く潜り込んで、かなり纒つた金をさらつた上、障る者があると、恐ろしい早業で、大根か人參のやうに斬つて逃出す強盜のことは、平次もよく承知して居ります。 「お父つさんはあの通りのきかん氣で、身體が言ふことをきかないくせに、八丁堀の旦那方に小言を言はれると、ツイ請合つて歸つたのだ相です。――泉屋一家で、荒し殘されたのは、あ
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