野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
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野村胡堂 · Japanese
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Original (Japanese)
「親分、お早う」 ガラッ八の八五郎は、顎をしゃくってニヤリとしました。 「何がお早うだい、先刻上野の午刻(十二時)が鳴ったぜ、冗談じゃない」 銭形の平次は相変らず、狭い庭に降りて、貧弱な植木の世話に没頭しておりました。 「親分の前だが、今日は嬉しくてたまらねえことがあるんだ」 「それで朝寝をしたというのかい、呆れた野郎だ、昨夜どこかで化かされて来やがったろう」 「へッ、そんな気障なんじゃありませんよ、憚りながら、太閤様と同じ人相なんだ、金が溜って運が開けて、縁談は望み放題と来やがる」 八五郎は拳固で鼻を撫であげます。 「大きく出やがったな、八」 「ね、親分、八卦や人相見なんて、本当に当るんでしょうか」 「そりゃ当るとも、八五郎が太閤様に似ているなんざ、凡人の智恵で言い当てられることじゃねえ」 「――ですかね」 「縁談が望み放題なんと来た日にゃ、たまらないね、八」 「なアに、それほどでもねえ」 八五郎はまだ顎を撫でております。 「誰が一体そんな罪なことを言ったんだ」 「両国の玄々斎ですよ」 「何だ、あの山師野郎か」 両国の広小路に、葭簾か何か張って、弟子の一人も使っている人相見、その頃、
野村胡堂
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