野村胡堂
野村胡堂 · Japanese
No translation yet. Request one to move it up the queue.
野村胡堂 · Japanese
First paragraph preview
Original (Japanese)
「八、何處の歸りだ。朝つぱらから、大層遠走りした樣子ぢやないか」 錢形の平次は斯んな調子でガラツ八の八五郎を迎へました。 「わかりますかえ親分、向柳原の叔母の家から來たのぢやないつてことが」 八五郎の鼻はキナ臭く蠢めきます。 「まだ巳刻前だよ、良い兄さんが髷節に埃りを附けて歩く時刻ぢやないよ。それに氣組が大變ぢやないか。叔母さんとこの味噌汁や煮豆ぢや、そんな彈みがつくわけはねえ」 「まるで廣小路に陣を布いてゐる八卦屋だね」 「それとも千住か板橋から馬でも曳いて來たのか」 「冗談ぢやありませんよ、親分。二年前に死んだ人間が人を殺したんだ。小石川の陸尺町から一足飛びに飛んで來ましたぜ」 「二年前に死んだ人間が人を殺した?」 「その上まだ/\四五人は殺してやるといふんだから大變で――」 「誰がそんな事を言ふんだ?」 「二年前に殺された人間ですよ」 「さア解らねえ、まア落着いて話せ」 「落着いて聽いて下さいよ親分、こいつは前代未聞だ」 ガラツ八の持つて來た話は、あまりにも桁外れでした。二年前に死んだ人間が、豫告して人を殺すといふことは、絶對にあり得べからざることですが、ガラツ八は自分の眼で、現
野村胡堂
Translation status
WaitingLog in to request a translation.
Other books by this author
Frequently asked questions
Yes — completely free. This book is in the public domain, so Pagera offers the full text without payment or account requirement. Pagera is funded by advertising.
Free to read
Start reading immediately — no signup required. Create a free account for more books and features.